超巨大ブラックホールの位置特定 国立天文台など
地球からおとめ座の方向に約5440万光年離れたM87銀河の中心部にある超巨大ブラックホールの正確な位置を、国立天文台などの研究チームが観測で突き止めた。これまではブラックホール周辺のガスに邪魔されていたが、米国にある電波望遠鏡10台を使って位置を特定した。8日付の英科学誌ネイチャーに掲載された。
国立天文台、宇宙航空研究開発機構、総合研究大学院大学の研究チームによる成果。今後さらに奥深くまで観測できれば、ブラックホールそのものの撮影につながると期待している。
ブラックホールでは周辺物質を吸い込んだ際にガスを高速で噴き出す「ジェット」と呼ぶ現象が起きる。ガスの噴出口が見つかればブラックホールの場所も分かるとされるが、周辺の電波がガスで遮られてしまい、これまで観測できていなかった。今回、米国立電波天文台の電波望遠鏡の観測網を使い、噴出口の場所を特定できた。
M87銀河中心のブラックホールの直径は、地球と太陽の距離の約240倍。ブラックホールの中でも最大級とされる。位置の観測誤差は地球から見た角度で1度の1億8千万分の1。ブラックホール直径の約2倍にとどまったという。これまでの測定精度を100倍以上も上回るとしている。
2011年09月08日 日本経済新聞
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