コロナ特例貸付の返済免除4685億円、会計検査院調べ…滞納などによる未返済は1188億円
新型コロナウイルスの影響で収入が減った生活困窮世帯に対する国の特例貸付制度で貸し付けられた1兆4000億円超のうち、4685億円について返済が免除され、回収不能となっていたことが会計検査院の調べでわかった。返済滞納者も多く、回収不能額はさらに増える恐れがあり、検査院は22日、貸付先への支援を適切に行うよう厚生労働省に求めた。
特例貸付制度は、コロナ禍の休業などで収入が減少した世帯に200万円まで無利子で貸し付けるもので、2020年3月~22年9月に計1兆4431億円(382万件)が拠出された。
同省は返済に関し、21年11月の社会・援護局長通知で、住民税の非課税世帯などの場合は免除するとした。検査院が今年3月末までの免除額を調べたところ、4685億円(131万件)に達していた。
同省によると、同月末までに6613億円分について返済が始まったが、8月末現在で1188億円が滞納などで未返済となっている。免除分を除いた残りの3133億円は今後、返済開始時期を迎える。
調査では、貸し付けの事務や支援を担う社会福祉協議会の一部で、国のルールに従った手続きを行っていなかったことも判明。14都府県社協(免除額2528億円、71万件)では滞納者らに対する家庭訪問を行わず、就労支援などができていないケースがあった。
このほか、16社協では制度対象外の生活保護受給者に対し、14億円を貸し付けていたことも判明した。
検査院は同省に対し、各社協に適切に支援を実施させることなどを求めた。同省の担当者は「指摘を受け止め、必要な対応をしていく」と話している。
出典:読売新聞社
コロナ特例貸付の返済免除:中小企業経営者が知っておくべきポイント
コロナ禍の影響で多くの企業が経済的な苦境に立たされました。この中で、政府が提供した「コロナ特例貸付制度」は、生活困窮世帯や収入が大幅に減少した家庭への支援策として重要な役割を果たしてきました。しかし、最近の報道によると、1兆4000億円以上の貸付額のうち、約4685億円が返済免除となり、さらに1188億円が未返済のままであることが明らかになりました。このようなニュースを耳にすると、中小企業経営者の皆様は「自分たちにも影響があるのか?」と感じるかもしれません。
ここでは、中小企業の経営者が知っておくべきポイントをわかりやすく解説し、特例貸付制度の状況や返済免除の仕組み、今後の対応について考えていきたいと思います。
1. コロナ特例貸付とは?
コロナ特例貸付制度は、2020年3月から2022年9月にかけて、コロナ禍で生活困難に陥った家庭を支援するために設けられた制度です。この制度の下で、最大200万円まで無利子で貸付が行われ、当時多くの方々がこの制度を利用しました。合計で1兆4431億円が拠出され、382万件の貸付が行われています。
この制度の目的は、特に厳しい状況にある家庭を一時的に支援し、コロナ禍から立ち直るまでの生活費を補うことにありました。もちろん、貸付を受けた場合は基本的に返済が必要ですが、条件を満たせば返済が免除される場合もあります。
2. 返済免除と滞納の現状
厚生労働省は2021年11月に、住民税非課税世帯などの一定条件を満たす家庭に対し、返済を免除する方針を打ち出しました。結果として、2024年3月末時点で、4685億円もの貸付金が返済免除となりました。さらに、現在までに返済が始まった6613億円分のうち、1188億円が未返済の状態にあります。この未返済額は今後さらに増える可能性があり、政府は対策を講じる必要があります。
中小企業経営者の皆様にとっても、このような大規模な財政支援の返済免除や滞納問題は、将来的に税金や他の政府支援に影響を与える可能性があるため、関心を持っておくべき重要な話題です。
3. 中小企業経営者が気を付けるべき点
このニュースは家庭向けの貸付制度に焦点を当てていますが、経営者としても他山の石とすべき事柄がいくつかあります。
まず、政府支援を受ける際には、その支援の条件や返済の義務、免除の可能性をしっかりと確認することが重要です。コロナ特例貸付では、一部の社協が家庭訪問や就労支援を行わなかったために、適切な支援が行われず、結果的に返済が滞るケースが増えました。これと同様に、中小企業向けの支援や融資制度でも、条件を満たさないまま借り入れを行うと、返済負担が大きくなり、将来的な経営に悪影響を及ぼす可能性があります。
次に、適切な財務管理と返済計画を立てることの重要性です。政府の支援制度を利用する際、免除の可能性があるからといって、安易に借り入れを行うのはリスクがあります。返済できない場合、会社の信用に影響を与える可能性もあり、今後の経営に大きなハードルが生まれます。必ず、事前に返済計画をしっかりと立て、キャッシュフローを見直すことが重要です。
4. 社会福祉協議会の役割と支援の限界
今回の報道で注目されたのは、貸付を担当する社会福祉協議会(社協)が適切な手続きを行っていなかったという点です。社協は、本来であれば貸付先の家庭に訪問して就労支援を行い、返済計画をサポートする役割を果たすべきでしたが、14の都府県でこのようなサポートが行われていなかったことが明らかになりました。
中小企業向けの支援でも、同様のケースが起こり得るため、しっかりとしたサポート体制が整っているかどうかを確認することが大切です。特に、資金繰りが厳しい状況で支援を受ける場合、返済が困難にならないようなアドバイスやサポートを受けることが重要です。社協やその他の支援団体と積極的にコミュニケーションをとり、必要な支援を確実に受けられるようにすることが、長期的な経営の安定につながります。
5. 経営者としての今後の対応
このようなニュースを受けて、経営者として考えるべきことは、政府支援に依存するだけでなく、自己の経営力を高めるための準備を怠らないことです。特例貸付制度は一時的な支援に過ぎません。今後、経済が回復する中で、持続的な成長を遂げるためには、以下のポイントに注意する必要があります。
資金繰りの改善と財務管理:支援金や融資を受ける際、しっかりとした返済計画を立て、会社のキャッシュフローを見直すことが重要です。特に、返済が免除される場合であっても、今後の資金繰りに影響を与えないよう注意を払いましょう。
適切なアドバイスを受ける:税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談し、最適な経営戦略や資金管理方法を考えることが必要です。助成金や融資制度をうまく活用するためには、プロの意見を取り入れることが非常に重要です。
柔軟な対応力の養成:今回のコロナ禍のように、予期せぬ事態に対して柔軟に対応できる力を持つことが、経営者としての資質となります。リスクマネジメントを行い、今後の危機に備えるための体制を整えましょう。
まとめ
今回のコロナ特例貸付の返済免除に関するニュースは、中小企業経営者にとっても他山の石となる内容です。政府支援を受ける際の慎重な計画と、財務管理の重要性を再認識する良い機会といえるでしょう。将来の経営を見据えて、今後のリスクに備えながら、健全な経営を目指すために、適切なサポートを受けつつも、自らの判断力と経営力を高めていくことが求められます。
税理士は、こうした制度やニュースを常に把握し、経営者の皆様にとって最適なアドバイスを提供していくことが税理士の役目です。税理士探しにお困りの際には、ぜひお気軽にご相談ください。
2024年10月23日
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