環境認証「エコアクション21」、近畿の中小で取得広がる
環境認証制度「エコアクション21」を取得する近畿の中小企業が増えている。今年の新規取得は8月末までに169社と前年から58%増加している。環境負荷が低い資材を優先購入する「グリーン調達」が普及しているうえ、コスト削減にも役立つことから、製造業を中心に取得意欲が高まった。また、経済団体や中小企業団体が取得を後押しする動きも広がっている。
エコアクション21を取得した近畿の企業は8月末時点で893社で、大部分が中小企業だ。業種別では製造業が27%を占めるほか、建設業が24%で続く。2010年に新規取得した企業は前年比37%増の206社。今年は10年実績を上回る勢いで増えている。
近畿では経済団体や業界団体による取得支援の取り組みが活発だ。大阪府中小企業家同友会などが取得に向けた共同研修を開催。関西経済連合会も中小企業の省エネ対策としてエコアクション21に注目し、10年度から本格的に勉強会を始めた。
また、運送業者で構成する日本ローカルネットワークシステム協同組合連合会近畿地域本部は、エコアクション21の取得に向け約20社が参加する共同セミナーなどを実施した。旗振り役の三協倉庫(大阪市)の山田茂美会長は「値下げ競争が強まるなか、顧客維持には取得は必要」という。
取得意欲が高まっているのは、大手企業や自治体で、グリーン調達が進んでいることが一因だ。大阪技術振興協会でエコアクション21の地域事務局長を務める関川詞之氏は「大手取引先の要請で取得する中小企業は多い」と話す。公共工事の入札でも、取得を評価点に加える自治体が多い。
環境認証では国際的に通用する「ISO14001」が有名だが、取得費用が高額で提出書類も多いため、中小企業には負担が大きい。エコアクション21は初期費用が20万円程度とISOの5分の1以下で、5人程度の小さな事業所でも取り組みやすいよう、審査方法などを工夫している。
加えて、取得への取り組みがムダやコストの削減になり、経営改善につながるのも魅力だ。昨年7月に取得した納豆メーカー、小金屋食品(大阪府大東市)の吉田恵美子社長は「削減可能なものがたくさんあると気付いた」と指摘する。
同社では製品の容器をプラスチック製から紙製に変更。これによりビニール包装も必要なくなり、包装機械の電力消費を削減した。ボイラーの稼働時間も作業工程を変更して縮めた。こうした改善で、最近1年間は生産が30%増加したなか、電気は4%、ガスは18%、使用量を削減した。
コスト削減の点からも、エコアクション21への関心が高まりそうだ。
2011年09月07日 日本経済新聞
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