災害時対策、より実効的に 九州・沖縄企業の事業継続計画
東日本大震災を機に九州・沖縄の企業が災害への備えを強化しつつある。災害時の事業復旧手順を記す「事業継続計画(BCP)」を策定・改定したり、従業員の安全確保策を整えたりと、実効性の高い対策を作ろうと躍起だ。電力不足に備え、自家発電を増強する工場も相次いでいる。
■原発事故も想定か
九州旅客鉄道(JR九州)、西日本鉄道、西日本シティ銀行などBCPを策定済みの主要企業が相次ぎ、改定が必要かどうかも含め、見直し作業を進めている。電力供給が滞った場合や、原子力発電所の事故が起きた場合など、様々なケースを想定しているもようだ。
新規策定に動く企業、事業所も多い。三菱重工業長崎造船所(長崎市)は本社が中心となって年内にもBCPをまとめる。工業用樹脂、プラスチックバルブ製造の旭有機材工業はすでにBCPを策定済みの愛知県内の事業所に続き、宮崎県延岡市の本社、工場でも年度内に策定する。
沖縄電力は年度内に台風、津波を想定して電力設備を総点検し、防災対策などをまとめる。
■従業員を守る
東京にレストランを展開するピエトロは東京営業所(東京・中央)の防災体制を強化した。全従業員分のヘルメットをそろえたほか、レストランでも、災害時の避難誘導体制について従業員への周知を徹底する。
三菱重工の長崎造船所は8月上旬、事務所で勤務する社員を対象に、震災時の避難先や連絡手順などをまとめた「ポケットマニュアル」を配布した。マニュアルはカードサイズの二つ折りで常時携帯を義務付けている。
鹿児島銀行は行内の災害対応マニュアルを改定した。地震に加え、「津波警報が発生した場合には屋上へ避難する」「電池を使わないラジオや懐中電灯を備えておく」など、新たな対応を規定した。
■電力不足対応
富士フイルムの生産子会社、富士フイルム九州(熊本県菊陽町)は製造ラインを増設する来年をメドに、自家発電設備の増強を検討中。ガスタービン発電で現在の出力は2万1千キロワット。使用電力の6割を賄っており、増強後は7割に増やす。
ユニバーサル造船は有明事業所(熊本県長洲町)で自家発電機4台をレンタルで調達する。これまでの2倍に当たる1千キロワット分の発電能力を確保する。安川電機はロボットを生産する八幡西事業所(北九州市)、開発研究所(同)などで計7台の自家発電機を設置した。
2011年09月02日 日本経済新聞
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