防災の日、震災受け訓練一変 帰宅困難者や津波に重点
東日本大震災後、初めての「防災の日」となる1日、大震災の教訓を踏まえて防災訓練が様変わりしそうだ。首都圏で大量の帰宅困難者が発生し、東北で大規模な津波被害が出たことを受け、企業も自治体も内容を大きく見直す。課題を実践・検証し、効果的な防災体制の構築につなげる狙いだ。
東日本旅客鉄道(JR東日本)は渋谷駅(東京・渋谷)と柏駅(千葉県柏市)などで、帰宅困難者への対策を盛り込んだ訓練を実施する。従来は駅構内などの安全確認が中心だったが、駅構内や駅前にとどまった人を避難場所に誘導する。柏駅では社員約80人が帰宅困難者役になり、約20人が誘導する。震災時にすべての人を避難所に誘導できないことを想定し、帰宅困難者役の一部には地図を渡し、個々に行動してもらい、混乱がないかを確認する。
埼玉高速鉄道も初めて帰宅困難者対策の防災訓練を実施する。鉄道が運転休止になり駅構内に多数の人が取り残されたという想定で、近くの公園に誘導した後、徒歩約20分の距離の避難場所へ避難してもらう。同社や県、川口市、川口市民など計約340人が参加する。
東京ドーム(東京・文京)も6日に開く避難訓練で、来場客の帰宅が困難になった場合を想定した訓練を実施する。同ドーム内にはプロ野球開催時には何万人もの人がおり、これらの人が一気に外に逃げ出すと混乱が予想される。このため、敷地内に一時待機してもらう。帰宅困難者役として住民も含めて約200人が参加する。
そごう川口店(埼玉県川口市)は1日、来店客を川口駅東口の駅前広場まで誘導する訓練を行う。周辺住民約20人に来店客役になってもらい、安全に避難できるかを確認する。
東京駅の八重洲地下街(東京・中央)では180以上のテナントの約300人が参加する。「大震災で近くのビルから割れたガラスが降ってくるなど危険な階段があることが分かった」ため、計40カ所近い階段のうち、避難経路の階段を1カ所に絞る。さらに、今年から新たにテナントごとの勤務人数などを記した「避難者確認カード」を作成。集合場所に全員残らず避難できたかどうかを、6班に分けたグループごとに確認できるようにする。
津波を想定した訓練も目立つ。横浜ランドマークタワーは1日、初めて津波被害を想定した訓練を実施する。横浜市は7月、マグニチュード8.1の地震が発生した時に3メートルの津波の到来すると予想。この高さの津波が来たことを前提にする。これまでの訓練は津波を想定していなかったので、全館の入居者を屋外の広場に避難させていた。今回は2階以下のテナントの従業員が3階に移動。3階以上のテナント入居者らには安否確認や地震に対する初動対応を確認してもらう。
千葉県北西部で都市ガスを供給する京葉ガスは、今後実施予定の防災訓練で、液状化被害からの復旧手順を確認するなど浦安地区でのノウハウを取り入れる方向だ。浦安ではガス管の中に土砂が入るなどしてバキューム機械で吸い出すといった通常の手法で対処しにくかったことなどを踏まえる。液状化に対応するノウハウをまとめて社内で共有できるように準備を進めている。
2011年09月01日 日本経済新聞
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