国交省/発注者・元請間の適正取引へ初の指針/法令違反行為を明示
国土交通省は、建設工事の発注者と元請企業間の請負契約の適正化を図るための「発注者・受注者間における建設業法令遵(じゅん)守ガイドライン」を策定した。請負契約の締結時などに建設業法違反となる行為などを明示。受発注者の取るべき望ましい対応を具体的に解説した。発注者と元請企業間向けに法令順守の指針を策定したのは初めて。29日付で国や地方の発注機関と共に民間発注者にも指針に沿った適正な契約を求める文書を通知した。
国交省は07年6月、指し値発注や不当に低い請負代金の強要など元請と下請間の違法行為を具体例を交えて紹介した「建設業法令遵守ガイドライン」を策定。元下請間の契約適正化を促進してきたが、発注者と元請企業の間でも、発注者による追加・変更契約の拒否や地位の不当利用、指し値発注、短工期発注といった不適正な取引実態があり、これが元下請間の不適正な取引関係を助長している側面もあると判断した。国交省の有識者会議が6月末にまとめた「建設産業の再生と発展方策2011」にも、発注者と元請間の法令順守ガイドラインの早期策定を求める項目が盛り込まれていた。
今回策定された指針は、▽見積もり条件の提示▽書面による契約締結▽不当に低い発注金額▽指し値発注▽不当な使用資材等の購入強制▽やり直し工事▽支払い▽関係法令-の8章立て。建設業法に違反する行為と違反となる恐れがある行為、望ましくない行為の事例を明示。法令の規定の趣旨や留意すべき事項、取るべき望ましい行為の解説を加えた。
違反行為には、見積もり時に工事の具体的な内容を提示せず、作業内容を書面で明確にしない場合や、契約締結前の工事着手などを挙げた。予定価格の額に応じて一定の見積もり期間(5000万円以上は15日以上など)を設けることが政令で定められているため、これより短い期間での見積もり提示を求めることも違反と明記した。違反となる恐れがある行為については、発注者の責任で工事費が増えたのに、請負代金の増額変更に応じない場合や、発注者が自らの予算金額のみを基準に、一方的に請負金額を決定して契約締結する場合などを挙げた。望ましくない行為として、特に工事目的物の完成・引き渡し後、発注者が受注者に速やかに請負代金を支払わないことなどを挙げた。
2011年08月30日 日刊建築工業新聞
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