[FT]キャタピラーCEO、米政界を痛烈批判
(2011年8月29日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
米国を代表する巨大製造業のトップが、議会の泥仕合は米国経済を再び景気後退の道に引きずり込みかねないとして、米政界を厳しく批判した。
売上高で建設機械世界最大手であるキャタピラーのダグ・オーバーヘルマン最高経営責任者(CEO)はフィナンシャル・タイムズ紙とのインタビューで、未解決のままの2国間自由貿易協定(FTA)の批准や、道路整備法案の成立が政争の犠牲となる恐れがあると指摘した。
米財界首脳の間では、米連邦債務の上限引き上げ問題を巡り露呈した民主・共和両党の対立の激化に対する不満の声が高まっており、同CEOもその批判の大合唱に加わった格好だ。
コーヒーチェーン世界最大手の米スターバックスのハワード・シュルツCEOは、債務削減で超党派の議会合意が成立するまでは政治献金を中止するよう提案。ニューヨーク証券取引所(NYSE)を運営するNYSEユーロネクストのダンカン・ニーダーアウアーCEOや米高級スーパー大手のホール・フーズ・マーケットのウォルター・ロブ共同CEO、米百貨店大手のJCペニーのマイロン・ウルマンCEOら100人を超す財界首脳がこれに賛同した。
■米政府の機能マヒを懸念
業界内での影響力の大きさにもかかわらず、これまで政治問題にはほとんど触れることがなかったオーバーヘルマン氏による今回の異例の発言は、政治合意の欠如が米政府の機能マヒ状態を長引かせ、脆弱(ぜいじゃく)な景気回復の足を引っ張るとの懸念が強まっていることを示唆している。
同CEOは、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)による米国債格下げの一因となった債務問題で、合意形成できない米国の政治指導者を断罪。「政争は醜悪で問題の真の所在を覆い隠した」と指摘し、「政治家は債務問題を国民を脅かす怪物に仕立て上げてしまった。私は両党に同様に批判的だ」と語った。
さらに同氏は、論争は米国の政治的雰囲気を険悪にし、米企業による国際競争力の維持に不可欠なコロンビア、パナマ、韓国とのFTAの議会批准の機会が損なわれたことを指摘。
「債務問題がワシントンから合意の環境を奪ってしまった。わが国ではFTAの批准・成立の見通しが立たなくなる一方で、中国などの競争相手はFTA調印を着々と進めている」と述べた。
同CEOはまた、道路整備法案成立の見通しにも懸念を表明。「米国はインフラ整備への財政出動によって世界最高水準の競争力を手に入れたのに、今やその状況は悪化の一途だ。国家としてインフラ投資はしないという、近視眼的で国の将来を危うくする決定を下した結果だ。国際競争力を維持することこそが、米国にとって最も重要なことだ」と語った。
2011年08月29日 日本経済新聞
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