木造住宅耐震化、官民で連携 診断から補助金申請まで
木造住宅の耐震化を進めようと、近畿の自治体と関連技術を持つ民間との連携が広がってきた。自治体と協定を結んだ工務店や設計事務所が診断から補助金申請まで一貫して請け負ったり、特定非営利活動法人(NPO法人)が支援制度を住民に説明したりする。東日本大震災後、耐震への関心が高まるなか、制度や事業者についての情報不足、補助申請の煩雑さなどから二の足を踏む住民が多いことに対応する。
大阪府箕面市は耐震化の技術を持つ市内の工務店、設計事務所など9事業者と8月に協定を締結した。これらの事業者に耐震相談を申し込めば診断、設計、改修までを請け負い、補助金の交付申請も代行する。「協定を結んだ事業者が責任を持って一貫して請け負う方式は珍しい」(建築指導課)という。
大阪府高槻市は耐震改修の今年度の補助申請がすでに8月1日時点で47件と昨年度全体の実績(33件)を上回った。建築士などでつくる府内のNPO法人が戸別訪問し、市の制度を知らせる取り組みが奏功した。訪問前に市が自治会などを通じて住民に連絡し、信頼感を高めた。
大阪市でも建築関係団体などと設立した市耐震改修支援機構を通じて、耐震化支援のNPO法人など6団体による戸別訪問を7月から東淀川区など3区で始めた。
官民連携の取り組みをさらに後押ししようと、大阪府は9月下旬にも、「まちまるごと耐震化支援事業」を始める。自治会などの地区全体の耐震化を事業者やNPOが請け負う仕組みだ。
耐震化を希望する地区は市町村を通じて申し込み、府の登録リストのなかから事業者(グループを含む)を選ぶ。この事業者が耐震化の啓発から耐震診断、設計、改修までを一括して請け負う。まず2カ所程度で始め、徐々に広げる方針だ。
京都市では8月末に建築物の安全対策を検討する推進会議内に「耐震ネットワーク分科会」を立ち上げる計画だ。市と建築業者や建築士が連携し、新たな耐震化促進策に向けて議論を進める。
神戸市でも兵庫県建築士会神戸支部など25団体と連携し、耐震化の促進に向けたキャンペーンを9、10月に開く。夏を過ぎると耐震化相談の件数が少なくなる傾向があり、集中的に啓発活動に取り組む。
2011年08月26日 日本経済新聞
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