国交省/震災対応での建設業の役割を活字に/初の記録集作成へ
国土交通省は、東日本大震災の被災地で復旧に尽力した建設会社の活動などを記した記録集を作成する。地元企業から応急復旧工事や被災者雇用などへの対応を聞き取って建設業が果たした詳細な記録を残し、その役割の重要性を広く伝えるのが狙い。記録集の作成に合わせ、復旧事業に当たっての国や地方行政の支援措置などに対する意見も収集。今後の災害発生時に建設業が迅速な復旧・復興活動を展開できるよう対応策の改善につなげる。記録集は本年度末にもまとめて公開する。建設業が大震災で果たした役割を国が活字化した記録集の作成は、95年の阪神大震災でも行われておらず、初の作業になるという。
3月11日の地震発生直後から岩手、宮城、福島などの各県の建設業団体は行政機関との災害協定に基づき、会員企業から人と資機材を大量投入。がれきの除去や被災した公共施設とライフラインの復旧、応急仮設住宅の建設などに全面協力してきた。大手建設会社も技術力やネットワークを生かし、インフラの復旧にとどまらず、被災者への水や食料、燃料などの支援物資の提供・搬送などに尽力。応急復旧の完了後も被災で職を失った人々の雇用の受け皿として重要な役割を果たしている。
一方で近年は、公共事業の削減や長引く景気低迷で建設投資が縮小。各地で建設会社の廃業などが目立ち、災害時に復旧に従事できる地域建設会社の数は減り続けている。首都直下や東海・東南海・南海などの大地震の発生が懸念される中で、国交省は建設会社の重要性を広く伝える必要があると判断。今回の大震災で建設業が果たした役割を記録集としてまとめる方針を固めた。
国交省は、全国建設業協会(全建)や日本建設業連合会(日建連)、建設産業専門団体連合会(建専連)などの団体を通じて応急復旧対応に当たった会員企業などを紹介してもらい、話を聞く。被災者雇用の実態なども把握する。同様の災害が起きた時に建設業が地域社会に求められる役割を適切に果たせるよう、国などが講じた資金繰り支援策などについても意見を聞き取り、施策の改善につなげる。今後の地域建設業の確保・育成策にも反映させる考えだ。
2011年08月25日 日刊建築工業新聞
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