「医工連携」関西自治体が後押し 中小の医療機器分野参入支援
中小企業が医療機器分野に新規参入するのを支援する動きが関西の自治体で活発化している。大阪市では外郭団体が大阪大学と連携して支援事業を本格化。京都市は支援の新制度を設けた。滋賀県の医工連携事業では製品化につながる例も出てきた。産業の空洞化が進む中、中小企業は高い技術を生かせる新規事業として医療機器分野に期待している。自治体は大学や医療機関との橋渡しをすることで地元経済の活性化につなげる狙いがある。
大阪市の外郭団体、大阪市都市型産業振興センターが運営するロボットラボラトリーは医療機器分野への参入を目指す中小企業への支援を本格化する。9月に阪大臨床医工学融合研究教育センター(MEIセンター)の協力を得て中小企業向けの連続講座を開講。「看護工学」「骨再生・人工骨・人工関節」などのテーマごとに第一線の研究者が登壇し、必要とされる機器の技術や機能などについて解説する。
講座修了後には医工連携に詳しいコーディネーターを招き、企業ごとの事業化支援体制も整える。「優れた日本のものづくり技術によって支えられた医療機器を世界に送り出したい」と連続講座でコーディネーター役を務める澤芳樹阪大MEIセンター長は話す。
医療分野の先端研究に取り組む中小企業やベンチャー企業を支援する制度を7月に新設したのは京都市だ。同市は昨年設けた連携支援のための事務所を今年6月、京大の先端医療機器開発・臨床研究センター内に移し、連携強化を目指す。
すでに製品化につながった取り組みもある。滋賀県が進める「しが医工連携ものづくりクラスター」事業では、工作機器製造の山科精器(滋賀県栗東市)が滋賀医科大の谷徹教授と共同で「吸引嘴管(しかん)」と呼ぶ手術時に血液を吸い取る管をこのほど製品化。今秋にも生産を始める計画だ。
医療産業都市構想を進める神戸市でも外郭団体の神戸市産業振興財団が医工連携人材育成セミナーを2008年度から開いている。11年度は秋と来春、神戸と京都で計10日間講座を開催する。
セミナーでは、医療機器の研究開発や臨床研究支援に取り組む先端医療振興財団(神戸市)や神戸大学医学部などとも連携。医療技術の現状や医療機器の開発に向けた知識を教える。今年度は医療機関や医療機器メーカーの見学会も実施する。
2011年08月24日 日本経済新聞
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