異例の長期25年、孤児を支援 ロート製薬、他社と基金設立へ
ロート製薬(大阪市)は18日、東日本大震災で両親を亡くした子供たちが大学を卒業するまで最長25年程度の勉学・生活支援に乗り出す方針を固めた。巨額の費用が必要となるため、他社と共同で基金を設立する考え。民間企業が収益の良しあしにかかわらず、これほど長期にわたって震災孤児の生活支援を打ち出すのは異例で、企業の社会貢献の新たな試みとして脚光を浴びそうだ。
同社は震災直後の3月25日、「震災復興支援室」を宮城大学内に設置。現在、7人が専任となり、震災孤児が大学を卒業して無事に社会に出るまでの生活と勉学の支援策を検討している。
河崎保徳室長は「災害や事故で両親を失うと、育ててくれた親戚や保護者の負担をなるべく早く軽くしようと、進学や将来の夢をあきらめて働く子供たちが多い」と説明し、震災孤児が夢や学業をあきらめないようなプログラムを策定中という。単に奨学金を支給するのではなく、心のケアを含めた震災孤児一人一人と向き合うような支援策を詰めているようだ。
支援期間は、震災孤児が大学・大学院を出て独り立ちできるまでを想定しており、ゼロ歳児の場合、最大で24~25年ぐらいになるとみられる。
こうした長期支援の費用に充てるため、同社は、吉野俊昭社長ら全取締役が4月から1年間、月額報酬の10%を返上して4千万円を捻出したが、これでは全く足りないため、ロートの考えに共鳴した他社と共同で基金をつくり、支援費用を積み立てる。
このほか、子供たちを支える小中学校の先生を励ますため、同社福利厚生施設の整体師が被災地を訪れ、整体サービスも始めている。
河崎室長は「25年もの長期支援に取り組むことは、企業としてよほどの信念がないとできない。売名行為ではなく、次世代を担う子供たちを支援するのが企業の社会的責任と考えた」と話した。
2011年08月18日 産経ニュース
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