神奈川の135社、4~6月経常益8%増 スマホ・省エネ追い風
神奈川県内の3月期決算企業(金融除く)の2011年4~6月期の経常利益は前年同期比8%増だった。スマートフォン(高機能携帯電話)や省エネ家電の需要拡大が機械や電子機器、小売業などの追い風となった。東日本大震災でサプライチェーン(供給網)寸断の影響を受けた自動車・部品は6月から生産が回復し、業績の底割れを回避した。
16日までに11年4~6月期決算を発表した135社を集計した。県内に本社を置く金融を除く上場企業のうち、08年3月期から連続してデータを取れる企業を対象とした。連結決算を作成していない企業は単独決算を集計した。
11年4~6月期は前年同期から169億円増益となり、県内21業種中13業種で損益が改善した。業種別では機械が124億円、建設が119億円の増益となった。プラント大手の日揮の連結経常利益は3.3倍の170億円。増益額は118億円と県内上場企業で最も大きかった。アブダビのガス精製やパプアニューギニアの液化天然ガス(LNG)プラントなど、海外の大型工事が寄与した。
消費者の省エネ志向も追い風となった。富士通ゼネラルは省エネ型のエアコンの販売が好調。連結経常利益は2.6倍の64億円となり、4~6月期としては過去最高となった。家電量販店のノジマもエアコンや発光ダイオード(LED)の販売が伸び、78%増益となった。
スマートフォン需要も業績回復のけん引役となった。スマートフォンの製造に使われる計測器が好調だったアンリツの連結経常利益は7.8倍の19億円に拡大。「スマートフォンやタブレット端末の開発競争や市場投入など市場が活発な動きを見せている」(橋本裕一社長)という。
一方、自動車関連は133億円の減益だった。ただ、日産自動車の国内生産が6月に前年同月比2%増となるなど比較的早い段階でサプライチェーンが復旧。県内部品メーカーにも生産回復が波及し、減益率は8%に踏みとどまった。
12年3月期通期予想は7%の経常増益の見通し。通期と上期(11年4~9月期)の予想を開示した129社を集計した。経常利益の通期見通しを上期と下期(11年10~12年3月期)に分けると、利益の64%が下期に稼がれる。
ただ、電力不足や急激に進む円高などが懸念材料となり、先行きの見通しに慎重な企業も多い。コロワイドは4~6月期の経常利益が10億円と、通期予想(22億円)に対する進捗率は47%に達している。ただ、「電力不足の影響など不透明要因が多い」(同社)として業績予想の見直しを見送った。
2011年08月17日 日本経済新聞
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