九州・沖縄のM&A37%減 1~6月、震災で国内投資控える
九州・沖縄に本社を置く企業が1~6月に関わったM&A(合併・買収)の件数は前年同期と比べ37%減の26件だった。東日本大震災の発生後、国内企業同士の案件が減ったことが響いた。成長余地が乏しくなっている国内市場ではなく、新興国の企業を買収した大型案件もあり、企業の投資行動の変化もうかがわれた。
M&A助言のレコフ(東京・千代田)が6月末までに発表された案件を集計した。資本参加や事業譲渡も含まれる。
国内企業同士の案件は22件と、前年同期の39件のおよそ半分にとどまった。東日本大震災で事業の先行きに不透明感が強まり、「体力のある企業でも投資を控える傾向が目立った」(レコフ)という。
ただ、新興国への投資には積極的な姿勢も見えた。耐火物大手の黒崎播磨はインドの同業最大手、タタ・リフラクトリーズ(TRL、西ベンガル州)を104億円で買収、子会社化した。インドでも自動車向け高級鋼の生産に必要な品質の高い耐火物の需要が高まると判断し、現地での足がかりとする。
ゼンリンもインドの地図最大手、CEインフォ・システムズ(ニューデリー)に出資。現地のカーナビゲーションシステム向け地図情報に参入する。
金額が明らかになっている案件のなかで最大だったのは、中堅ノンバンク、Jトラストが福岡市に本社があった楽天のカード子会社の消費者金融部門を買収したもの。株式と貸付債権を合わせた買収額は415億円だった。この結果、1~6月のM&Aのうち、金額が判明した分の合計は536億円と、前年同期比2.1倍に膨らんだ。
前年に目立った経営不振企業の救済案件もいくつか見られた。アパート建築・賃貸管理の沖縄県最大手、沖創建設(那覇市)の経営破綻に絡み、事業や債務を承継する受け皿会社に沖縄銀行や県内企業が出資。また、架空取引の発覚で事業撤退に追い込まれたメルシャンの水産飼料事業を、魚の養殖などを手掛ける東海シープロ(福岡市)が買収した。
レコフでは「東日本大震災で先送りされた案件が動き出し、M&Aの件数は持ち直している」という。下期には積極投資に転じる企業が増える可能性もある。
2011年08月17日 日本経済新聞
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