近畿の自治体、住宅・中小企業の省エネに助成 LEDや太陽光
近畿の自治体が節電や省エネルギーを後押ししようと、中小企業や商店街などの団体、一般家庭向けの支援事業を強化している。消費電力の少ない発光ダイオード(LED)照明や太陽光発電装置の導入への助成金が中心だ。電力供給への不安感や関西電力の節電要請を背景に企業などの関心は高く、自治体の予想を上回る応募のある事業も多い。
堺市は今夏、中小企業向けにLED照明の導入助成制度を設けた。最大300万円を補助する仕組みで、8月末まで募集する。これまでも中小向けに省エネ機器の導入を支援する制度はあったが、対象を製造業の工場に限っていた。新しい制度は節電効果が出やすいLED照明に対象を絞る一方、業種の枠を設けずに幅広い利用を促す。
街路灯のLED化支援も目立つ。京都市は今年度、商店街向けの助成制度を設けた。大阪府岸和田市は町会などが防犯灯を設置する場合、LEDであれば補助金を1灯3000円上乗せする。
一般家庭向けの事業としては太陽光発電装置の導入助成が多い。
兵庫県は今夏、県内の既存住宅向けを対象に募集を始めた。出力1キロワット当たり2万円を補助する。3~4人の消費電力を賄える出力4キロワットの装置の場合、設置費は240万円程度。国の補助で約20万円、県の補助で8万円を受ければ導入が進むと見る。
和歌山県は今年度、既存住宅への導入補助を手厚くした。1キロワット当たり3万円を助成し、新築住宅に比べ1万円多くした。新築に比べ取り付け費用が割高になるためだ。
これらの事業への関心は高い。堺市の中小向けLED照明の導入制度は15件の申し込みがあった。工場、オフィス、商店街が3分の1ずつだ。
このうち堺東駅前の堺東中瓦町商店街振興組合はアーケードの照明330個をLEDに切り替える。小林栄次副理事長は「節電で投資が回収できたら、組合員に納めてもらう電気料金を値下げしたい」と意気込む。
住宅向け太陽光発電装置の設置助成も人気だ。兵庫県の事業には募集開始の7月15日から半月で428戸分の応募があった。京都市の事業への申請は4~7月だけで683件に上り「申請件数の増加が続けば、補正予算での対応も検討したい」(門川大作市長)という。
自治体の支援策は地域事情に合わせたきめ細かさが特徴だ。施策が呼び水となって、その地域の省エネを後押しできる。
例えば堺市。金属加工品の製造販売を手掛けるダイネツ商事(堺市)は昨年11月、太陽光発電装置を取り付けた工場を市内の臨海部に完成させた。市の助成制度などを活用した。現在、施設に必要な電力を全て太陽光発電で賄い、売電できる。
同じグループで金属熱処理業のダイネツ(同)は堺市の新たな支援事業を活用し、本社工場に約150個のLED照明を導入する計画。葛村和正社長は「うちのような中小企業にとっても節電は大切。資金回収に長い期間を要する投資を自力でするのは困難で、行政の支援は良いきっかけになる」としている。
2011年08月16日 日本経済新聞
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