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千代田区、区民2000人が事業評価 アンケート形式導入

 東京都千代田区は、区民参加型の事業評価制度を導入する。無作為で抽出した区民2000人に事業の必要性についてアンケート調査を実施し、希望者には実際に会議に参加して職員と直接議論してもらう。2000人規模の多数の住民に意見を求める自治体の事業評価制度は珍しい。評価の結果は来年度の予算編成への反映を目指す。

 政府が実施して話題になった「事業仕分け」では会議は住民に公開されるが、行政や有識者が議事の進行をリードし、住民の意見は直接反映されないケースが多い。都内では杉並区や品川区、町田市などが事業仕分けを導入している。千代田区の評価システムは区民が事業評価に直接参加できるのが特徴で、事業仕分けとは異なる。

 今年度の評価の対象は10事業。マンションの備蓄物資購入に補助する「マンションの防災対策」、連合町会などの活動に助成する「地域コミュニティ活性化事業」など。大震災を機に区民の関心が高まっている事業や生活に身近な取り組みを重点的に選んだ。

 評価に先立ち、8月中旬までに区の総人口(4万8000人)の4%強に相当する2000人にアンケート調査を実施する。対象者は無作為で抽出する。各事業の概要と、その事業について1人あたり税金がいくら使われているかを提示。「評価する点としない点」「区が直接やるべきか、民間がやるべきか」などについて選択式で回答する。区は世論調査と同じ5割程度の回収率を見込む。

 区民が区職員と直接議論する「区民参加会議」を設ける。回答者の中から参加希望者を各事業につき5人ずつ募る。会議は8月下旬から9月上旬にかけて公開の場で開く。外部有識者が進行役として参加し、区職員と区民の対話がスムーズにいくよう誘導する。

 最終的には外部有識者が、アンケート調査の結果や会議での議論の内容を総合的に判断して評価する。「検討の結果はできる限り、次年度以降の予算編成に反映したい」(政策経営部)としている。区民に事業評価への参加を促し、事業への関心を高める狙いもある。

 しかし自治体のこうした取り組みは、選挙で選ばれた議員の判断が軽んじられ、議会が空洞化するとの見方も出ている。評価結果と議会の議論をどう両立させるかが課題になりそうだ。

2011年08月10日 日本経済新聞

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