核の被害ない世界を 追悼と祈りの長崎
ナガサキの街を一瞬で消し去った原爆投下から66年。爆心地近くの平和公園では9日、被爆者や遺族が鎮魂と平和への祈りをささげた。福島第1原子力発電所事故で再び放射線の脅威にさらされた日本。「原子力にかわる再生可能エネルギーの開発を進めることが必要」。海外からも含む多くの参列者が、核の被害のない世界を願う被爆地の訴えに聞き入った。
真夏の蒸し暑さ、せわしく鳴くセミの声――。平和公園(長崎市松山町)には、早朝から多くの被爆者や遺族が訪れ、献花台に線香や花束を手向けた。
白い数珠を握りしめ、献花台に頭を下げた長崎市の犬童トモヨさん(82)は、兵器工場で魚雷部品の鋳造作業中に被爆した。一瞬の白光と「シャー、シャー」という音。崩れたコンクリート屋根の下敷きになり、助け出されたのは4時間後。ともに働いていた友人はみな死んだと聞かされた。
両親と弟も失った。しかし、「本当につらかったのは戦後だった」。長崎県内に住む親族のもとに身を寄せたが、食べ物はわずかな芋だけ。周囲にもなじめなかった。
「1年、10年、50年たっても悲しみは増すばかり」。東日本大震災の被災地にも自らの被爆体験を重ね、「悲しいのはこれから。困難に負けず、前向きに生きてほしい」と願う。
爆心地から約500メートルの浦上天主堂では、午前6時に鐘の音とともに追悼ミサが始まった。白のベール姿の信徒ら約300人が賛美歌を歌い、手を合わせた。
小島栄司祭は「原爆で亡くなったすべての人たちに。そして、今年は東日本大震災で犠牲になった方々のためにも心を合わせて安息を祈りましょう」と語りかけた。
2011年08月09日 日本経済新聞
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