国交省/保険未加入企業の実態把握へ、9月から詳細調査/労務費調査に項目追加
国土交通省は、保険未加入企業の排除に向けて、建設業者の社会保険加入状況の実態調査に乗りだす。9月から建設業関係団体に行う公共事業労務費調査で、調査項目を追加・変更し、従来よりも詳細なデータを集める。調査結果は来年3月末までに取りまとめる。国交省の有識者会議「建設産業戦略会議」が6月末にまとめた「建設産業の再生と発展のための方策2011」に盛り込まれた保険未加入企業の排除策の具体化に向けた動きが本格化することになる。
方策2011では、社会保険などの法定福利費を支払わない保険未加入企業の存在が、工事現場で働く技能労働者の処遇を低下させ、建設業界から若年入職者を遠ざける一因になっていると指摘。法定福利費を適正に負担して人材育成を行っている企業ほど経営コストが高くなり、保険未加入企業と比べ競争上不利になっている状況を是正するよう求めていた。国交省が10年秋に行った労務費調査によると、雇用・健康・厚生年金の三つの社会保険に加入していた企業の割合は土木分野で71%、建築分野で64%。経営事項審査(経審)を受審している企業の10%程度が健康保険と厚生年金保険に加入していなかった。
保険未加入企業の実態把握で、これまでの労務費調査では、賃金内訳書の保険料控除を確認する欄への記入を求めていた。それを本年度の調査では、より正確に加入状況を把握できるよう見直し、▽事業所規模区分の変更▽企業区分(法人、個人)の追加▽雇用保険適用事務所番号、健康保険名・適用事務所整理番号、厚生年金保険番号・事業所番号の記入欄の追加-など調査項目を追加・変更する。
事業所の規模区分に関しては、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」が100人単位で事業所の規模を分けて調査データを取得しているため、同様の規模区分でデータを集め、データの比較や整合性を取ることができるようにする。本年度の労務費調査では、調査票回収後の11月から企業を集めて行う審査でも、各企業が加入している組合管掌健康保険や全国土木建築国民健康保険組合、その他の国民健康保険組合の保険料が分かる資料を提示してもらい、データの信頼性を高める考えだ。
2011年08月08日 日刊建築工業新聞
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