【経済情報 特スキミング】法的処理の「所要時間」で4月以降に企業倒産急増?
大手調査会社の報道発表によると、昨年は負債額1000万円以上の企業倒産件数は、前年と比べて14%減の1万3000件と2年連続で減少したが、負債総額は大型倒産の影響から3%増と2年ぶりに増加したという。
国は中小企業の資金繰りを支える緊急保証制度を3月末で打ち切るが、景気回復にはほど遠いと判断。激変緩和措置として、全業種の6割に当たる48業種については、制度を半年間延長して全額保証することを決めた。
しかし半年で景気が回復するわけもなく、この程度の政策では、自転車操業を強いられる中小・零細企業にとっては、単なる延命措置に過ぎない。年末の資金繰りはメドをつけたものの、保証延長に関わらず今後数カ月が正念場になりそうだ。
亀井静香・前郵政改革金融担当相がブチ上げて実施された中小企業金融円滑化法で、銀行は返済猶予や条件変更に対応している。また前述のように、都道府県にある公的な保証協会が銀行融資を保証するケースが増えた。こうした対策を実施したことで倒産件数は減少したと思われる。
ただ、金融機関借り入れの条件変更はその場しのぎの感は拭えない。年内に受注が急速に増える町工場など、数えるほどだろう。
金融機関のほうも「法律だから対応しているが、今後中小企業融資が不良債権化する可能性は高い」(地銀関係者)と強く警戒している。
返済できない企業に銀行も追い貸しはできないから、早晩行き詰まるところは出てくる。そうなると、「いよいよ」のときに備えておかなければならない。
資金繰りに窮すれば法的処理による会社整理(企業倒産)までは数カ月を要するため、企業倒産に詳しい関係者の間では「4月から倒産件数は増加、金額も増大するのではないか」との観測が高まっている。
倒産法に詳しい宮本聡弁護士(大江橋法律事務所)によると、「1週間で会社更生法を申し立てたケースはあるが、極めて例外的。事前準備が不十分だと申し立て後に混乱が生じて更生手続きに支障を来たすリスクがある。どんな会社でも1カ月程度は準備期間が必要」と話す。
その際には、「資金繰り表や債権者一覧表などを添付した更生申立書や、申し立てに関する取締役会議事録など書類も欠かせない」(同弁護士)。必要書類を用意するのに最低ひと月はかかり、そのうえで裁判所に更生手続きを申請するから、4月以降に企業倒産が増加すると予測できるわけだ。
しかし最近は、経営陣が残って会社を立て直す更生方法もある。自暴自棄にならず倒産実務に精通した弁護士などに相談し、会社の実情にあったアドバイスを受けて、最悪の事態を避けるのが賢明だろう。
2011年02月19日 ZAKZAK
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