東北3県の弁護士会、法律問題で長く支援
東日本大震災の被災地でさまざまな民事トラブルの法律的な解決に時間がかかることを見据え、弁護士会が長期的な支援に乗り出した。岩手、宮城両県では沿岸部に常設の法律相談所を置く予定で、福島県では東京電力福島第1原子力発電所事故の損害賠償請求に備え、被害状況を記録するノートを配布している。
岩手、宮城両県沿岸部は広範囲にわたって津波で住宅が流失したため、今後、土地の境界確定が問題になるとみられる。また、親や配偶者が死亡したことによる遺産分割や相続など親族間の問題や、地震で壊れた賃貸物件の修理や貸し借りをめぐる相談が増えることも予想される。
仙台弁護士会の相談センターには、すでに賃貸物件について「全壊認定の建物から借家人が退去しない」「大家から退去を求められているが、修理すれば住み続けられる」といった相談が多く寄せられている。
同会によると、日本司法支援センター(法テラス)が8、9月にも弁護士事務所がない宮城県東松島市、南三陸町、山元町の3カ所に常設の法律相談所を設置する。弁護士は同会から派遣される。期間は3年間を予定している。車に机やいすを載せ、仮設住宅などを巡回する“移動相談室”も始める考え。
岩手弁護士会は日本弁護士連合会から資金面の支援を受け、弁護士会の支部がなく、被害も大きかった陸前高田市に、法律相談センターを置く。9、10月になる見通しという。
福島県弁護士会によると、県内では、原発事故に対する損害賠償請求について「何を準備しておけばいいのか」という悩みを抱えた住民が多いという。そのため、同会は住民対象の説明会を開き、収入の減少額や損害などを記録するノートを配布している。
仙台弁護士会の野呂圭弁護士は「被災者の近くに弁護士がいることで、アクセスもしやすくなる。どんどん利用してもらい、問題解決につなげたい」と話している。
2011年07月27日 日本経済新聞
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