国交省/海外紛争処理専門の弁護士育成へ/9月に勉強会設置、マッチングも
国土交通省は、建設産業の海外展開を支援する一環で、日本企業が海外建設プロジェクトで発生したトラブルを処理する際に日本人弁護士を活用しやすい環境を整備する。大手弁護士事務所の若手・中堅クラスとゼネコン・団体関係者による勉強会を9月をめどに設置。海外事業の紛争事例や契約・管理体制などを題材に意見交換を重ね、弁護士の習熟度を高める。海外紛争処理ビジネスでの弁護士と建設会社のマッチングの場としても勉強会を活用したい考えだ。
海外建設プロジェクトをめぐる紛争処理などのビジネスは、制度設計も含めて英豪系の弁護士の独壇場になっているのが現状。日本の建設会社もクレーム処理を海外の弁護士に依頼するケースがほとんどという。外国政府や現地企業との契約をめぐる紛争の解決に当たり、意思疎通が図りやすい日本の弁護士に仲裁を依頼したいという日本企業のニーズは高い。一方で、海外の建設事業に精通した日本人弁護士は不足している。国交省はこうした実態を踏まえ、需給ギャップの是正に向けた支援活動に取り組むことにした。
9月にも立ち上げる海外事業の契約管理に関する勉強会は、日本人弁護士の中から、海外建設プロジェクトに精通し、契約管理にも詳しい専門家を育成することが狙い。大手弁護士事務所に所属し、30~40代半ばの若手・中堅弁護士らを対象に、参加メンバーを募る。既に複数の弁護士事務所に打診しており、すべての事務所から参加の意向を確認しているという。
勉強会には建設業界側から、海外建設協会(海建協)の会員企業で海外建設プロジェクトを担当する部門の社員が参加。国交省の担当者もオブザーバーとして加わる。本年度は毎月1回のペースで5回程度の開催を予定している。海外建設プロジェクトに対するゼネコンの社内管理体制、これまでの紛争事例などを紹介しながら、各テーマに沿って参加者による意見交換を行う。勉強会での議論の内容などを事例集としてまとめ、一連の成果を対外的に発信することも計画。人材の育成・交流では継続的な取り組みが重要になることから、来年度以降も同様の活動を続ける方針だ。
2011年07月26日 日刊建築工業新聞
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