カップ麺必須の乾燥かまぼこ復活 シェア100%の福島企業が再開
カップ麺に欠かせない「乾燥かまぼこ」の国内生産のほぼすべてを担う福島県の中小企業が、東日本大震災で被災した同県いわき市の本社工場を再開した。生産量は震災前の半分程度だが、一時は姿を消しかけた乾燥かまぼこだが、放射能検査を徹底し、風評被害も乗り越え、“復興”への道程を歩き始めた。
生産を再開したのは、即席麺用乾燥具材を手がける営洋(えいよう)。「乾燥かまぼこ」「乾燥なると」の国内シェアはほぼ100%で、国内外の即席麺メーカーと取引するなど、「知る人ぞ知る優良企業」だ。中国や韓国、タイなど海外にも生産工場を持ち、年商は約22億円。
しかし、震災で本社工場が被災して操業が停止。原発事故後は福島県東部への搬送を断る運輸業者が出たため、原料として輸入している海外産の魚のすり身が工場に届かなくなった。この結果、即席麺メーカーの需要に応えられなくなり、「かまぼこ抜き」で即席麺を発売したメーカーもあったほどだ。
営洋の海外工場は人員面などでこれ以上の増産余地が乏しく、本社工場の操業再開が急務となっていたが、本社工場は東京電力福島第1原子力発電所から40キロメートルほどしか離れていないため、放射能汚染が懸念され、風評被害で福島産の多くの農産物が出荷できない状態になった。
しかし、思ったほど工場の損傷がひどくなく、1千万円ほどの設備投資で再開できる見通しが立った。風評被害に対しても、材料から完成品まで第三者機関での検査を徹底し、安全性を証明するシステムを構築した。
結果、取引先の理解が得られるようになり、少しずつ生産を再開してきた。今年度の売上高は10億円程度と前年度の半分に落ち込む見通しで、完全復旧にはもう少し時間がかかる見込み。
同社の小野久幸総務部長は「いくらいい技術を持っていても、メーカーは作ってなんぼ。地元では、多くの農林漁業関係者がいまなお風評被害に悩まされているが、一丸となって元気を取り戻したい」と語る。
2011年07月20日 産経ニュース
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