大企業特許を中小に橋渡し 神奈川県とKASTが連携
神奈川県は財団法人の神奈川科学技術アカデミー(KAST、川崎市)などと組み、大企業の未利用特許の活用を県内中小企業に促す事業に乗り出す。KASTが持つ中小企業のデータベースや、県が主催する産学官連携の推進組織のネットワークを生かす。事業化に向け、中小企業に対しきめ細かな技術支援もする。大企業の未利用特許を有効活用するとともに、中小企業の新事業創出を後押しする。
県は「特許流通コーディネート支援事業」を6割強を出資するKASTに委託した。KASTは国の認定を受けた特許流通の専門家を4人配置し、年16~17件を仲介する。
KASTは大企業のライセンス契約が可能な開放特許の情報を収集、中小企業が活用できる特許を選び出す。まず神奈川県内に研究開発拠点を持つ大企業で構成する「神奈川R&D推進協議会」に参加する日産やソニーなど20社に働き掛ける。
国の工業所有権情報・研修館に登録されている開放特許4万3000件のうち、約1割に当たる4600件をR&D推進協議会の20社が保有している。KASTがこれらの特許を整理し、必要な特許を探しやすくする。
KASTはこれまでにも大企業の特許を中小企業に仲介してきた実績がある。昨年11月にはシステム開発のランドシステム(横浜市、村山正徳社長)が富士通と有毒物質の濃度判定技術の特許利用で契約を締結。硫化水素など有害ガスの空気中の濃度を遠隔地からネットを通じて測定する技術を確立した。
特許利用の促進に向け、7月7日には無料相談会を開催する。同時に、県やKAST主催の展示会に参加した中小企業444社のデータベースを活用。大企業の特許を使えば事業化が見込める技術を探し出し、中小企業に特許の活用を促す。
大企業との特許ライセンス交渉に入った後の支援も手厚くする。KASTの職員らが交渉に立ち会い条件調整や契約に関する助言をする。事業化までの期間、特許使用料の負担に耐えられるかも検証する。契約締結後は県の産業技術センターと連携し、製品検査や分析など事業化に向けた支援を実施する。
2011年06月29日 日本経済新聞
最適な税理士が見つかる!
T-SHIEN税理士マッチング
依頼したい税理士業務と希望金額を入力し、匿名で全国の税理士事務所から見積を集めることができるシステムです。送られてきた見積の中から、最適な税理士を選ぶことができます。