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被災3県の保証承諾額、倍増の469億円 中小の資金繰り悪化

 東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島の3県の信用保証協会による金融機関の融資保証が急増している。5月の保証承諾額は前年同月に比べて2.1倍の469億3000万円となった。震災に伴う中小企業の資金繰りの悪化が主因。金融機関は保証のない新規融資には慎重な姿勢を示しているもようで、承諾額は当面、高い水準で推移しそうだ。

 3県の保証協会の保証承諾額を集計した。内訳は岩手が前年同月比18%増の77億3300万円、宮城が2.5倍の187億7600万円、福島が2.4倍の204億2100万円。3県の保証承諾件数も5月は68%増の3808件だった。

 信用保証制度は中小企業が金融機関から融資を受ける際に国が返済を保証する制度。中小企業が民間金融機関から受けた融資の返済が焦げ付いた場合、企業の代わりに弁済する。信用保証協会が融資の一定額に保証を付けることで中小企業は融資を受けやすくなる。

 例年、保証承諾額は企業の資金決済が集中する年末や年度末に増える傾向にあるが、震災の影響で新年度に入ってからも申請が増えている。「取引先が被災した中小企業からの申し込みも増えている」(宮城県の信用金庫)。

 震災後、宮城県など自治体は中小企業の資金繰りを支えるため低利の制度融資を相次いで創設しており、資金繰りが悪化した中小企業の利用が相次いでいる。5月末の3県の災害復旧関連の制度融資による中小企業への融資額は329億円となり、4月末の2.4倍となった。

 制度融資を利用するには原則として信用保証協会の保証が必要になるため、制度融資の利用増が保証額の増加につながっている。各自治体は6月以降、設備投資目的の資金も対象にした新たな制度融資を設けており、保証額は今後さらに伸びる可能性がある。

 一方、民間金融機関による保証なしの新規貸し出しは伸びていないもようだ。日銀によると3県の地方銀行による4月の貸出残高は前年同期比でほぼ横ばい。企業が資金を借り換える際、信用保証協会の保証付きに切り替えるなど、既存の融資が振り替わっているとの見方もある。

 二重ローン問題を抱える中小企業も多く、銀行の保証なし融資は先行きの不透明感から今後も伸び悩む可能性がある。当面は公的金融への依存が強まりそうだ。

2011年06月28日 日本経済新聞

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