遅れる設計条件確定/ミス・長時間残業の一因に/道路・河川、建コン協調査
建設コンサルタントが公共機関から受託する道路や河川の詳細設計業務で、設計条件の確定が大幅に遅れるケースが多い実態が、建設コンサルタンツ協会(建コン協、大島一哉会長)の調査で分かった。設計条件の確定が遅れると、照査の時間が確保できずミスが発生しやすくなったり、技術者が長時間残業を強いられたりする問題があるとして、建コン協は27日に始まる国土交通省の各地方整備局などとの意見交換会で改善を求める考えだ。
会員企業9社が07~09年度に国土交通省から受託した道路と河川の詳細設計業務91件について、業務の履行期間と設計条件の確定時期をアンケートで調べた。それによると、履行期間を10カ月として見た場合、設計条件が9カ月を過ぎてから確定した業務が19%、8カ月を過ぎてから確定した業務が11%、7カ月を過ぎてから確定した業務が20%に上った。全体の半分の業務は、履行期間の7割を過ぎてからようやく設計条件が確定していたことになり、建コン協の野崎秀則常任理事(オリエンタルコンサルタンツ社長)は「調査結果を見てあらためて驚いた」と話している。
建コン協は調査結果を11年度版の「建設コンサルタント白書」に掲載。設計条件確定の遅れによる業務の集中は、「検討や照査の時間が確保できずミスやエラーが発生しやすくなる」「長時間残業により技術者の業界離れが進む」「業務量集中時期に合わせた従業員確保により企業経営が圧迫される」などの弊害を招くと指摘し、結果的に社会資本整備の質や経済性に悪影響を及ぼすとの懸念も表明している。
白書ではこのほか、設計・施工一括発注方式の採用や、基本性能・概略仕様を示すコンセプト設計(仮称)、要求性能を満足させる基本構造を設計する基本設計(同)の導入を提案した。設計・施工一括発注方式と併せて事業を監視・評価する工事監理の制度を導入することなども求めている。
2011年06月24日 日刊建築工業新聞
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