【デジフジ知恵袋】グーグルはどうして無料なの?
■サービス関連のネット広告で莫大な利益を得ているため
ウェブの検索サービスから始まったグーグルですが、いまや動画投稿サイトの「YouTube」を筆頭に、地図サービスの「グーグルマップ」や「ストリートビュー」、メールサービスの「Gmail(ジーメール)」、予定管理の「Googleカレンダー」、ワードやエクセルの代わりになる「Googleドキュメント」などのサービスをウェブ上で無料で提供しています。
また、ブラウザの「Google Chrome(クローム)」や日本語入力ソフトの「グーグル日本語変換」、画像管理ソフトの「Picasa(ピカサ)」などのパソコン用ソフトも無料でリリースしています。
さらに、ドコモやauのスマートフォンに搭載されているOS(基本ソフト)の「アンドロイド」もグーグルが各携帯電話メーカーに無償で提供しているものです。
ウェブ上のサービスには開発費や運営費がかかり、パソコンソフトやOSも開発に多大な人件費がかかります。通常のメーカーなら、利用者から料金を徴収しなければ立ち行きません。なのにグーグルは、なぜ無料で提供できるのでしょうか。
それは、グーグルがサービスに関連したネット広告で莫大な利益を得ているからです。
今年4月14日に米グーグルは1-3月期の決算を発表しました。それによると、売上高は前年同期比27%増の85億7500万ドルで、純利益は18%増の23億ドルでした。売上高の69%を占めたのは、前記の関連サービスに付随したネット広告による収入です。さらに、同社が提携サイトに配信している広告サービス「AdSense(アドセンス)」を通じた売り上げが28%でしたので、売り上げの97%が内外のサイトからの広告収入でした。
ネット広告は、それが掲載されているサイトに接触する人が多ければ多いほど売り上げが上がる仕組みです。そこでグーグルは、多くの人が使いたくなるサービスを無料で提供することでサイトに人を集め、広告収入を増やしています。アンドロイド・スマートフォンにもグーグルのサービスが最初から組み込まれていますので、利用者は意識せずにグーグルを利用し、広告に接触することになります。うまくできたビジネスモデルですね。
実際、グーグルのモバイル広告事業の売り上げは前期より倍増しています。それは、発売されているアンドロイド・スマートフォンの台数を見ると一目瞭然です。今年1-3月に、日本では866万台の携帯電話が出荷されました。このうち約290万台がアンドロイド・スマートフォンです。昨年10-12月に出荷されたアンドロイド・スマートフォンは約150万台なので、ざっと倍増です。
世界的に見ると、昨年1年間にアンドロイド・スマートフォンは3億台が出荷され、今年は4・7億台、2015年には約10億台になると予測されています。それだけの数のユーザーが毎日、携帯からグーグルのサービスを利用しているのです。グーグルの売り上げは上がる一方でしょう。
ちなみに、グーグルのサイトに表示される広告のクリック数は前年比18%増で、クリックの広告費は8%増とのことです。たくさんクリックされているから価格が下がるのではなく、むしろ価格が上がっているのはグーグルの手腕と思われます。常に新しいユーザー層を呼び込む新しいサービスを展開しているので、広告の付加価値が高まっているのでしょう。
とはいえ、新しい分野を開拓するには開発や人材への長期的な投資が必要不可欠です。今回のグーグルの決算では、売り上げが27%も伸びたにもかかわらず、経費が54%も増加した点が嫌気され、その後の株価は5%近く下落しました。従来の企業とは異なる“企業哲学”を持つグーグルらしいエピソードと言えます。
2011年06月23日 ZAKZAK
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