国交省/海外進出動向を定期調査へ/業界ニーズ把握し支援策に反映
国土交通省は、建設産業の海外への進出意欲や受注実績などの詳細を把握するための定期調査を始める。海外進出への効果的な支援策を時機を逸さず打ち出していくには、継続的調査が欠かせないと判断した。大手・中堅から地場・中小建設会社、設計・コンサルタントまでを含めて昨年度に行った海外展開に関する意向調査を、本年度以降も継続して毎年度行っていく。
国内の建設市場は今後、東日本大震災の復興需要などで局所的・一時的に拡大するとみられているが、中長期的には事業量の大幅な増加は見込めない状況。建設産業の持続的成長には、海外での事業領域の拡大が依然、重要な課題になっている。国交省は、海外進出を目指す企業を支援していくには、市場の動きや企業側の支援ニーズを素早く察知し、戦略的に政策を打ち出していくことが不可欠だと判断。そのための基礎データを把握するため、大規模な実態調査を継続的に実施することにした。調査によって業界側のスタンスを的確にとらえ、支援策に反映させる。
昨年度に行った調査では、建設業と設計・コンサル業合わせて6533社を対象にアンケートを実施。回収率は15・2%(991社)にとどまったが、これだけ広範囲の民間企業を対象にした調査は初めて。調査結果によると、工事・業務を受注したい国ではアジア諸国が上位を占め、特にベトナムや中国に各社が強い関心を持っていることが分かった。海外進出時の不安要素には、約4割の企業が「契約リスク(契約の不備、解釈の相違)」を挙げた。ここ数年、契約上のトラブルから代金回収が進まず、多額の損失を被る企業が大手を中心に相次いだことも各社の意識に影響したとみられる。このため、国に希望する支援策でも、契約管理に関する要望が最も多かった。
海外建設協会の会員企業を除いた957社に限ると、119社(約12%)が海外進出を「検討している」と回答。海外受注実績がある49社を対象に07~09年度の傾向を見ると、建設業者は受注額が減少。元請よりも日系建設会社から下請受注する比率が高まっている。設計・コンサル業者は受注額が増加。ほぼすべてが元請受注だった。建設工事よりリスク管理が容易な設計・コンサルで、都市開発やインフラ整備が堅調な新興国を中心に事業の拡大が進んでいる様子がうかがえる。
2011年06月23日 日刊建築工業新聞
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