TSUTAYAも…上場企業の“看板”に嫌気がさしたワケ
株式上場は経営者にとって大きな目標のはずだが、出版社の幻冬舎のように上場廃止を選ぶ企業が増えている。経営陣が自社の株式を株主から買い上げる「マネジメント・バイアウト(MBO)」の手法を使って、有名企業が次々と「上場企業」の看板を捨てている。そのワケは?
有名企業の上場廃止が相次いでいる。直近では幻冬舎が15日の臨時株主総会で定款を変更、MBOで3月16日に上場廃止となることが確定した。
今年に入って表明した企業を拾ってみると2月2日にワイン専門商社のエノテカ、3日にレンタルDVDの「TSUTAYA」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)…と早くも6社。まさに立て続けの様相だ。
背景にはどんな事情があるのか。
金融ジャーナリストの森岡英樹氏は「景気が低迷するなか、企業は設備投資など積極的な事業拡大が難しい。外国人投資家などから、内部留保を積み上げるくらいなら自社株買いや増配など株主に還元せよとの要求が強い」と口うるさい株主が一因とみる。
兜町関係者も「四半期ごとの経営成績をアナリストなどから追及されることに嫌気がさしている経営者も少なくない。オーナー経営者の場合、自分の会社なのだから好きなようにしたいというのが本音では」。取引所に支払う上場料、監査法人への報酬など「年間数億円の上場コストも影響している」(先の関係者)と説明する。
一方、経営者側が自社株を本来の価値より安く買い戻そうという意図も透けてみえる。
「MBOに伴うTOB価格は市場価格より2割~3割高く設定されることが多い。だが、それでも1株当たり純資産や、企業が将来に稼ぐ利益を現在価値に置き換えるDCF法などではじき出した本来の価値よりは低いケースが目立つ」(大手証券アナリスト)
メリットは経営者だけではない。実は金融機関も乗り気だ。以前は、企業が経営再建しようにも金融機関からの融資がままならず、投資ファンドからMBOを条件に資金提供を受けるケースが多かった。だが、最近は金融機関が積極的に融資する姿勢が目立つ。
「預金が増えても融資先がない現状で、4%前後の利ザヤが稼げるMBO融資は銀行にとってもありがたい案件」(メガバンク系証券)
さまざまな思惑がからみながら増える非上場化。今年のはやりになりそうだ。
2011年02月17日 ZAKZAK
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