国際会計基準、見直し議論へ 適用企業の範囲縮小も
金融庁は30日、企業会計審議会を開き、国際会計基準(IFRS)の日本企業への適用方針を見直すための議論に着手する。これに先立ち自見庄三郎金融相は21日の記者会見で、強制適用の開始時期について「2015年3月期はない」と明言し、延期の方向が実質的に固まった。すべての上場企業としている適用範囲の縮小が今後の焦点になりそうだ。
金融相は適用開始に向けた準備期間も修正し、「少なくとも3年」から「5~7年」に延長する意向を表明した。
金融庁は来年をメドに、強制適用の是非を見極めるとしている。来年中に判断した場合は、最終的な適用時期を2~4年程度延期する見通しだ。経団連に加盟する大手企業は「強制適用の日程を延期するのは、実務負担からみて当然だ。企業の実情を理解してもらえた」と歓迎している。
30日に始まる審議会では適用時期の延期に加え、すべての上場企業に適用するかどうかの判断が焦点になる。産業界では「海外で幅広く活動するグローバル企業だけに強制適用し、それ以外の企業には日本基準の採用を認めるべきだ」との声も出ている。
米国は全上場企業を対象に、5~7年かけて国際会計基準を米国会計基準に取り込む方針だ。こうした動きも踏まえ、日本も年内には大きな方向性を固めたい考えだ。ただ対象範囲の線引きを巡って、調整が難航する可能性もある。
一方、市場関係者の間には懸念もくすぶる。クレディ・スイス証券の市川真一チーフ・マーケット・ストラテジストは「会計基準がばらばらでは、企業間の比較可能性が損なわれる。日本市場への資金の呼び込みに影響しかねない」と言う。
東京証券取引所の斉藤惇社長は21日の記者会見で「世界的な基準で企業価値を評価できるのが一番良い」と述べ、会計基準統一の方向性自体は変わらないとの認識を示した。
2011年06月22日 日本経済新聞
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