景気「上向きの動き」 月例報告4カ月ぶり上方修正
与謝野馨経済財政相は20日夕、6月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出した。東日本大震災で毀損したサプライチェーン(供給網)の復旧が進んだことから、生産を中心に景気の総括判断を「このところ上向きの動きがみられる」と4カ月ぶりに上方修正した。先行きの下振れリスクとしては「海外経済の回復がさらに緩やかになること」を挙げた。
上方修正したのは輸出や鉱工業生産といった項目で、ともに2月以来、4カ月ぶり。輸出は「水準は依然として低い」(内閣府)としながらも、自動車などのサプライチェーン立て直しを理由に「減少していたが、上向きの動きがみられる」に変更した。震災後の自粛ムードが和らいだことや消費マインドの悪化が一服したため、個人消費は「下げ止まりつつある」に2010年3月以来、3カ月ぶりに上方修正した。
一方で、震災関連の倒産件数が増えたため、倒産の項目は6カ月ぶりに下方修正。雇用は09年9月以来、1年9カ月ぶりに判断を引き下げた。被災地の雇用情勢が厳しいことに加え、宿泊や卸売りなど「悪化を全国的に感じられる」(内閣府)という。
先行きについては「サプライチェーンの立て直しが進み」国内生産や回復することを背景に景気が持ち直していくことが期待されるとした。しかし、景気下振れのリスク要因として、引き続き原子力災害や電力供給の制約を挙げ、海外経済の成長が鈍ることを加えた。世界経済の表現は「全体として回復している」から「回復が緩やかになっている」と09年2月以来、2年4カ月ぶりに下方修正した。
内閣府は、米国を筆頭に「原油価格高騰による下振れリスクが現実のものになった」と指摘。先進国での消費の下振れや新興国でのインフレ策による景気回復ペースの鈍化が影響した。インドは10年1月の公表開始以来、初めての下方修正。ギリシャでは債務再編が噂されるなど、デフォルト(債務不履行)による欧州の金融機関への影響のほか、アイルランドやポルトガルなどへの波及といった「2つのコンテージョン(伝染)を心配している」(内閣府)という。
2011年06月20日 日本経済新聞
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