東北の企業、自家発電導入相次ぐ 節電対策・余震に備え
東北で自家発電装置を導入する企業が増えている。政府が大口需要家に対し7月からピーク時の電力使用量の15%削減を義務付けたことを受けて、節電時も工場の操業を維持できるようにするほか、余震による停電で生産が止まることを懸念した側面もある。東北電力から供給を受けるよりコスト負担が増してしまうため、発電装置の運転規模などを見極めようとしている例もある。
納豆製造のヤマダフーズ(秋田県美郷町)は本社工場に、出力170キロワットの自家発電装置4台を新たに設置した。既存の2台と合わせた6台の自家発電装置で、東北電力と契約している電力量800キロワットのほぼ全量をまかなえるという。
同社は3月11日の東日本大震災や4月7日の大型余震に伴う停電で生産が中断し「4トントラック4台分の納豆を廃棄せざるを得なかった」(山田清繁社長)。温度管理などに必要な電力供給が止まると生産量や品質を維持できなくなる。停電への備えに加えて、夏場の電力使用量削減もあることから自家発電装置の増設が必要と判断した。
トヨタ自動車グループの関東自動車工業岩手工場(岩手県金ケ崎町)も2台の自家発電装置(計約600キロワット)を設置した。7月に稼働させ、工場で使う工具を動かす圧縮空気を作り出すコンプレッサーなどに電力を供給する。東北電子工業(宮城県石巻市)も自動車部品向け電池ケースを生産する北村工場(同市)に出力40キロワットの自家発電装置2台を導入した。
政府の助成制度を活用する企業も多い。東北経済産業局は5月、自家発電装置の導入に補助金を希望する企業を公募した。5億円を上限に中小企業には2分の1、大企業には3分の1を助成する。5月6日から23日までの公募期間中、東北管内で60件の申請があり自家消費に使う14事業所への補助金交付を決めた。
NECトーキンは情報・通信機器用の精密電子部品などを製造する白石事業所(宮城県白石市)で自家発電装置を使う検討を始めた。同事業所は出力1200キロワット級の重油ボイラー式の発電装置を4台保有している。宮城県沖地震などへの備えに導入したが、近年は使用していなかった。今夏に稼働できるよう準備に取りかかった。
4台合計の能力は4800キロワット。フル活用すれば理論上は生産部門や事務部門といった事業所全体の電力をほぼ賄えるという。ただ、自家発電を多用すれば東北電力から供給を受けるより燃料代などのコストが負担となり、発電機の利用頻度などは定まっていない。
2011年06月14日 日本経済新聞
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