都内銭湯、顧客開拓に熱「若者・外国人をリピーターに」
東京都内の銭湯組合が新たな顧客層の開拓に力を入れている。銭湯の情報を調べられるスマートフォン用ソフトを作って若年層を呼び込んだり、外国人観光客向けのサービス向上に取り組んだりする。利用者数の減少を受けて都内の銭湯はピーク時の3分の1に減っている。銭湯になじみの薄い層に一度、体験してもらうことで、繰り返し利用するリピーターになってもらおうという試みだ。
多摩地域の銭湯でつくる三多摩浴場組合連合会は2月中にも、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」用アプリを公開する。住所や湯の温度など59カ所の銭湯の情報を検索することができる。利用者に入浴後の感想をミニブログのツイッターでつぶやいてもらう機能も備えている。同連合会は「20~40歳代の若い人に興味を持ってもらいたい」と期待する。
さらに若い世代を開拓するのは、大田区の銭湯でつくる大田浴場連合会。今夏にも区内の児童スポーツクラブなどと連携し、運動した後の児童を無料で銭湯に招く事業を計画している。
同連合会は2010年10月の羽田空港の国際化を機に、外国人観光客へのPRも始めた。入浴マナーを英語、中国語、韓国語で書いたポスターを銭湯56軒に配布している。区内の外国人に銭湯の情報をそれぞれの言葉で、ブログなどを通じて発信してもらう試みも進めている。
墨田区も観光客の取り込みを狙う。東京都公衆浴場業生活衛生同業組合(都浴場組合)の墨田支部が10年10月、区内の銭湯と名所を紹介する町歩き用の地図を5千部作成し、各浴場で配布している。東京スカイツリーを目当てに訪れた観光客に町歩きのついでに銭湯に立ち寄ってもらう。
新宿区の銭湯が加入する都浴場組合新宿支部は20日まで、スタンプラリーを開催中。10カ所の浴場を回ると先着で銭湯に行くときに使えるエコバッグを贈る。2500個用意したバッグは既になくなり、新たに1000個を追加で用意した。
都内の銭湯数は利用者の減少や経営者の高齢化、施設の老朽化などで減少傾向が続いている。09年末の都内の浴場数はピークだった1968年の3分の1の840軒。新規の顧客層の開拓が急務となっている。
2011年02月16日 日本経済新聞
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