東北被災3県/公共工事の発注に格差、宮城県は災害復旧で大幅増/国交省調べ
東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県の公共工事の発注状況に格差があることが国土交通省の調べで分かった。公共工事前払金保証事業会社(東日本、西日本、北海道)がまとめる毎月の前払金保証実績を基に、元請契約の累計額について震災後の前年比増減率を調査した結果、4~5月期は宮城県内が2桁の大幅増になったのに対し、岩手と福島両県内はほぼ4割の大幅な落ち込みになった。国交省は、工事発注時期の違いが復旧・復興の速度に影響を及ぼす可能性もあるとみている。
3県の元請契約額をみると、震災が起きた3月(単月)の前年同月比増減率は、岩手が21・5%減、宮城が39・9%減、福島が50・7%減と3県ともに大きく減少した。これが4~5月の累計額になると、岩手が37・7%減、福島が41・8%減と減少傾向に変わりはないが。宮城だけが16・3%増と大きく増えていた。4~5月期の元請契約額の前年同期比増減率を発注者別にみると、▽国=岩手57・4%減、宮城23・9%減、福島4・2%減▽独立行政法人等=岩手99・0%減、宮城20・9%減、福島87・8%減▽都道府県=岩手40・9%減、宮城179・6%増、福島35・4%減▽市区町村=岩手1・8%増、宮城15・5%減、福島43・5%減▽地方公社=岩手246・3%増、宮城46・9%減、福島145・1%増-など。
宮城は、都道府県発注工事で新設や維持修繕よりも災害復旧工事の大幅な増加が発注量全体を押し上げた。一方、岩手、福島では地方公社発注工事が大幅に増えているものの、契約額が小さく、発注量全体を押し上げるまでには至っていない。東北6県全体の累計額の前年同期比18・3%減に比べても岩手と福島両県の落ち込みは激しい。
岩手県は他の2県と異なり、震災直後に被災地の復旧・復興に向けた災害対応を急ぐ観点から県発注工事の入札手続きを停止。4月11日には入札手続きを再開したが、いまだ工事発注を回復できていない。福島は東京電力福島第1原子力発電所事故の影響で人員や予算を割けず、いまだ工事発注量を増やせないとみられている。
2011年06月13日 日刊建築工業新聞
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