都内景気判断2段階下げ 1~3月、生産・消費が急減速
財務省東京財務事務所は6日発表した2011年1~3月期の東京都内の経済情勢で、7段階で示している景気判断を2段階引き下げた。東日本大震災の影響で、個人消費や企業の生産活動が大幅に落ち込んだ。ただ、同事務所は「過度な自粛ムードは解消されつつあり、明るい兆しも一部でみられる」とみている。
同財務事務所は景気判断を7段階の天気記号で示している。1~3月期は下から2番目に低い「小雨」だった。下方修正は2年ぶり。
個人消費は震災後の自粛ムードや節電による影響もあり、落ち込んだ。同財務事務所の聞き取りでも「営業時間の短縮で大幅な売り上げ減」(百貨店)、「キャンセルが続出し稼働率が10%台に」(宿泊業)といった声が目立った。
ただ、ここにきて減少幅は縮小している。品川プリンスホテル(東京・港)は4月は5割だった客室稼働率が5月は7割に回復。出張のビジネスマンの利用増もあり、5月下旬には満室となる日も出たという。「夏休みが長い企業も多く、日本人客はまだ伸びる」とみている。
日本橋三越本店(同・中央)は3月の店頭売り上げは前年同月比で3割程度落ち込んだが、5月は1割減まで回復した。クールビスに対応した衣料品などが押し上げた。節電関連の商品については「夏に向け、さらに期待できる」(三越伊勢丹ホールディングス)という。
生産は輸送機械、電気機械などが大幅に落ち込んだ。東京都がまとめた3月の工業生産指数(05年を100とする季節調整値)は71.1で、前月に比べて15.7%低下した。同財務事務所の聞き取りでも「自動車メーカーの生産停止で部品生産も大幅減」(自動車部品)などの声が相次いだ。
企業の生産活動も震災前の水準に戻りつつある。建機用のランプ製造のエスワイエス(東京・板橋)は「4、5月の生産は計画比1割減だったが、納入先の生産体制が整ってきたため、7月以降は計画通りになりそうだ」としている。
トラック車体メーカーの東洋ボデー(東京都武蔵村山市)は震災後、5月末まで主力の車体の生産台数が前年同期の半分まで落ち込んだ。中核部品をつくる東北の工場が生産を停止・縮小したことに加え、計画停電で一時生産ラインを止めなければならなかった影響もある。
6月は被災地の復旧需要で資材やがれきなどを運ぶトラックの需要が急増。生産台数は前年同月の5割増に達する見通し。中條守康社長は「6~8月だけをみれば生産台数、収益はリーマン・ショック前の水準。しかし政府の第2次補正予算の行方もあり、本格的な復興需要が盛り上がるかどうか、9月以降は不透明だ」としている。
2011年06月07日 日本経済新聞
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