東北の自治体・企業、被災者の雇用を拡大
東日本大震災で職を失った被災者に働く場を提供しようと、東北の自治体や企業が雇用拡大に動いている。岩手、宮城、福島の各県は臨時職員の採用を増やす一方、民間への事業委託を通じて新規雇用を作り出そうとしている。震災で内定を取り消された既卒者の採用に乗り出す企業もある。しかし、震災以降の離職者数は被災3県で10万人を超えており、雇用環境改善への道のりは遠いのが現状だ。
宮城県は県内で被災した求職者を対象に新たに6千人程度の雇用の場を提供する。31日に開会した県議会で審議する5月補正予算案に、関連事業費として約116億円を計上した。財源は国の1次補正予算から支援を受ける。
県や市町村で事務を補助する臨時職員を雇ったり、県や市町村から民間に防犯や廃棄物処理などの事業を委託して、民間での雇用拡大に役立てる。賃金水準は県が直接雇用する場合、税込み月14万円程度という。
福島県も約8千人の雇用創出を目指しており、岩手県も同様の仕組みを使うことで、どの程度の雇用を確保できるかを検討中だ。3県は今年度、既に合計1万人規模の臨時雇用を計画しているが、国の1次補正予算成立を受けて規模が拡大することになる。
被災地のハローワークなどでは東北以外の地域からの求人も寄せられているが、地元での就職を望む被災者も多い。自治体による雇用創出の取り組みはこうした被災者には朗報となりそうだ。
しかし、いずれも緊急的な有期雇用であり、本格的な就職につなげるには被災した地元企業の再建を支援する必要もある。岩手県は被災前の雇用者数の8割以上の雇用を前提に、工場再建を支援する事業を始めた。
東北に本社を置く企業も若年層を中心に雇用支援に動いている。フィデアホールディングスは傘下の荘内銀行と北都銀行で、震災で内定を取り消された既卒者の中途採用を実施。それぞれ数名の枠を設け募集を終えた。7月1日付の入行を予定する。
ラーメン店チェーンの幸楽苑や生活用品製造卸のアイリスオーヤマも来春入社の新卒採用で、被災地から積極雇用する。配属先は必ずしも被災者の地元とは限らないが「いずれ地元で働ける機会は他地域に就職するより大きい」(大山健太郎アイリスオーヤマ社長)。
ただ震災以降の離職者数は被災3県で10万人を超え、現状ではそのすべてを吸収するのは厳しい。被災者が地元で働き口を見つけるには追加の対策も必要になりそうだ。
2011年06月01日 日本経済新聞
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