自費出版1冊から出版 ダンクセキが新サービス
製本業のダンクセキ(長野市、関一朗社長)はデジタル印刷技術を用いた自費出版サービスを7月をめどに始める。ウェブサイト上に作品を公開し、購入の申し込みがあれば1冊から出版できる「オンデマンド」サービスを展開する。在庫を持たず、作者の初期投資が不要な点を訴えて市場を開拓する。新サービスをテコにオンデマンド事業を収益の柱に育てる。
新サービス「パブリマ」は写真集や漫画、絵本、小説など幅広い書籍に対応する。作者は専用のソフトを使い、写真や文字などを配置して作品を制作する。同社の設定した最低価格に印税を上乗せして作者自身が販売価格を決め、サイトに公開する。
消費者はサイト上で見て気に入った作品を1冊から購入できる。作品は上製本のほか、スマートフォン(多機能携帯電話)などで閲覧できる電子データのダウンロードにも対応する。
一般的な自費出版サービスは一定の部数をはじめに印刷する必要がある。「パブリマ」ではデジタル印刷技術を用い、部数が1冊でも対応するため、作者が払うのは月額315円のサイト管理費のみで済む。自社の印刷工場で一貫して製本まで仕上げ、仕上がり品質が高い点を訴える。
納期は通常の自費出版サービスで1週間~10日程度かかるが、3~5日に短縮した。同社によると、製本業者がこのようなサービスに参入するのはあまり例がないという。
最低価格はサイズや製本法によって異なり、1冊1500~3000円。電子データは100円。アマチュア写真家や絵本作家、同人誌の作者らの利用を見込み、1年間で1万点の作品を集める目標。3年以内に「パブリマ」の事業売上高を年1億円に増やす考え。東京都内で7月に開催する展示会に出展し、市場ニーズを探る。
同社は製本業の老舗で、2011年8月期の売上高見込みは前期比ほぼ横ばいの約5億円。活字離れやインターネットの発達による本業の苦戦から、数年前にデジタル印刷を取り入れた。オンデマンド事業として、インターネットを使ったフォトブックの制作サービスなどを提供してきた。製本業者の強みを生かし、ネットと融合した事業を収益の柱に育てる。
2011年06月01日 日本経済新聞
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