「震災で弱い動き」5月の月例報告、判断据え置き 原発事故リスクに追加
与謝野馨経済財政担当相は24日、5月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出した。景気の基調判断は「東日本大震災の影響により、弱い動きとなっている」として、2カ月連続で据え置いた。ただ、サプライチェーン(供給網)の寸断で企業の生産が回復していないことから、設備投資と企業収益、住宅建設を下方修正した。原発事故による農漁業への影響も懸念されており、景気が早期に持ち直すかは予断を許さない。
基調判断では、4月時点で盛り込んでいた「景気は持ち直していた」の表現をはずしたが、内閣府は「基本的な判断は先月と変わっていない」としている。
項目別では、設備投資を平成21年12月以来、1年5カ月ぶりに下方修正。4月の「持ち直している」を「震災の影響により、弱い動きがみられる」に変更した。
サプライチェーンの寸断で生産がストップし、半導体製造装置や建設機械などの出荷が落ちたため。ただ、先行指標となる機械受注額が3月は前月比プラスだったこともあり、内閣府は「企業の設備投資意欲が腰折れしている感じはない」としている。
また、企業収益も21年3月以来2年2カ月ぶりに判断を引き下げた。23年3月期決算では東証1部上場企業の震災による特別損失が4兆円を超えた。今期に入っても震災が「経常利益の押し下げ要因」(内閣府)になっており、20年のリーマン・ショック以降の回復に水を差している。
一方、今月の月例経済報告では、景気の下ぶれリスクとして、新たに東京電力福島第1原発事故の原子力災害を追加した。
野菜や魚介類から放射性物質が検出され、農林水産業で販売減少などの影響が出ることや、消費マインドの低下で旅行などレジャーを控える動きが広がることを懸念している。
サプライチェーンは正常化が進みつつあり、企業の生産も回復するとみられる。ただ、電力の供給不足や、原油価格の高止まりなどの不安材料もあり、景気が回復基調に戻るかは不透明だ。
2011年05月24日 産経ニュース
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