近畿の企業、節電ビジネスに商機 太陽光使うLEDなど多彩
近畿の企業が節電につながる製品やサービスを強化している。消費電力が少ない発光ダイオード(LED)照明や研究機関が使う機器、省エネ効果が分かる携帯電話システムなど多彩だ。政府は今夏、東京電力や東北電力管内について15%の節電目標を掲げた。東日本を中心とした事業所向けの需要が見込めるほか、消費者の省エネ意識の高まりにも対応する。
島津製作所は自動車メーカーなどで使う試験機の消費電力を最大で50%抑える省エネ機器を発売した。価格は170万円程度。年間を通して使うと、製品価格の3分の2にあたる115万円程度の電気代が節約できる。既存の機器に後付けすればよく、難しいといわれた研究施設の節電を後押しする。
島津製作所は研究開発用のさまざまな分析機器を開発、販売している。東日本大震災の発生後、顧客から消費電力を心配する声が目立つ。このため、既存装置の節電に向けた改良を進める。
センサー大手のオプテックスは家庭の玄関先などに設置する防犯用センサー照明について、LEDを使った製品を発売した。太陽光発電装置を組み込み、外部電源がなくても利用できる。年末までに累計1万5000台超の販売を目指す。
中堅・中小企業も製品開発を強化している。エイコー(大阪市)は今月下旬、業務用の蛍光灯型LED照明の新製品を発売する。スーパーや工場の天井に設置する110ワット型照明と、主に駐車場での需要を見込む40ワット型照明だ。
既存の蛍光灯と同じ明るさで、消費電力が半分以下になる。流通大手チェーンの一括受注などを期待し、発売初年度は新製品だけで20億円の売り上げを見込む。
検査機器製造の中央電機計器製作所(同)はLEDを使う街路灯を拡販する。太陽光発電式で非常用電源としても使える新機種を自治体や企業向けに6月中にも投入する。夏場なら1日でフル充電できる。初年度1000基の販売を目指す。
日本ソフト開発(滋賀県米原市)は小売業の顧客の囲い込み策として「節電」に着目した。省エネ支援ソフトを商店などの販促ツールとして売り込んでいる。
登録した買い物客は電気や水道などの使用量を携帯電話で送信すると、1カ月単位で二酸化炭素(CO2)排出量が分かる仕組みだ。節電などに関心が高い消費者に店側が商品を紹介できる。
地震の発生後、もともと省エネ分野の製品を扱っていた企業の受注が増えている。オムロンは工場やオフィス、店舗での電力消費を一元管理するシステムを販売している。震災前に比べて引き合いが約5倍に増えたという。
このシステムは生産設備や照明、空調機器などの電力消費を分電盤に取り付けた計測機器で常時監視し、事前に設定した使用量を上回りそうになると警報を鳴らす仕組み。センサーなどを生産する阿蘇工場(熊本県阿蘇市)で増産に向けた準備を進めている。
近畿は「顧客のニーズを吸い上げ、開発に直結できる」(エイコー)中小が集積している強みがある。そのため商品化の動きも活発というわけだ。節電需要の取り込みは、地域経済の活性化にもつながりそうだ。
2011年05月20日 日本経済新聞
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