九州の自治体、クラウドでコスト減 税金事務処理など
ネットワーク経由でソフトウエアや情報システムを利用できる「クラウドコンピューティング」の導入が九州の自治体で加速している。税金や健康保険の事務処理などで、専用ソフトを必要な時だけ使うことで業務コストを削減する。耐震性などに優れた外部の専用データセンターに情報処理拠点を移管することで、災害リスクなどを軽減する狙いもある。
福岡県岡垣町は来年7月にクラウドを導入する方針だ。税会計や介護保険、住民基本台帳など40業務を対象に外部のデータセンターを活用する。
クラウドは1台のサーバーを複数台あるかのように稼働させる「仮想化技術」を駆使。岡垣町は同技術を使ったサーバーの貸し出しサービスを利用する。自治体用の業務ソフトを必要時に必要な処理分だけ使用する。
従来は庁舎内のサーバーを使って事務処理をしてきたが、サーバーが更新時期を迎えたことからクラウド方式に順次変更する。これにより、「人件費などを含め従来比で5割のコスト削減効果につながる」(情報推進課)という。
熊本県御船町は3月、税金や健保などの事務処理をクラウドに変更。従来に比べ3割以上のコスト削減を見込んでいるほか、「サーバーの保守管理やソフトの更新などが不要になり、人件費も大幅に削減できる」(総務課)とみている。
熊本県合志市も1月に、水道や健保の業務を対象にクラウドを導入した。今年度中にもメールの送受信やインターネット閲覧などもクラウド方式に切り替えるなど、対象業務をさらに1割以上増やすことで一層のコスト削減につなげる考えだ。
自治体が自前でサーバーを所有すると、保守管理やソフトの更新などに費用がかかる。システムを借りるクラウドサービスを活用すれば、運用コストを抑えられるほか、「耐震性などが高い外部のデータセンターを利用することで、災害時などにデータを失うリスクを軽減できる」(合志市)メリットがある。
ただ、データセンターからの情報流出など安全性を疑問視する自治体もあり、「普及にはシステム開発会社のセキュリティーの強化が課題」(独立行政法人・情報処理推進機構)との指摘もある。
2011年05月19日 日本経済新聞
最適な税理士が見つかる!
T-SHIEN税理士マッチング
依頼したい税理士業務と希望金額を入力し、匿名で全国の税理士事務所から見積を集めることができるシステムです。送られてきた見積の中から、最適な税理士を選ぶことができます。