関西・中部企業の決算 震災の影響は限定的
上場企業の平成23年3月期決算の発表がピークを迎えた。東日本大震災の影響で、首都圏を中心に巨額の特別損失を計上する企業などが相次いだが、関西・中部の企業の影響は限定的だった。製造業を中心に海外の経済成長に牽引(けんいん)され、震災影響を含めてもなお増益を果たすケースも目立つ。各社は設備投資の続行や安全対策への注力で乗り切る考えだ。
大阪証券取引所で9~13日の間に決算発表の会見を行った企業は311社。うち、ピークの13日には過去最多となる133社の発表が集中した。会見した経営トップらからは、震災に伴う設備投資や安全対策についての発言が相次いだ。
仙台工場が被災した小林製薬の小林豊社長は「震災後、従業員が避難する際の防寒着を常備させた。(避難路となる)工場の通路幅の取り方や自動扉の改善も行う」と防災対策を強化する考えを表明した。
また、日本電産はグループの生産拠点が多い長野県などで、工場の建て替えや補強工事を進めている。永守重信社長は「今回のような地震が起きても大きな被害はなくなる」と断言した。設備投資額や研究開発費は前期より増やすが、24年3月期は増収増益を見込む。
一方、製薬最大手の武田薬品工業のように「過去の経験から1年以上の在庫を持っており、製品供給などに影響はない」(長谷川閑史社長)と、対策が進んでいるケースもある。
東京電力福島第1原子力発電所の事故や、中部電力浜岡原発の停止を受けて、電力供給への対応策も進みつつある。島津製作所は神奈川県の秦野工場と厚木工場が東京電力による計画停電の影響を受けた。中本晃社長は「西日本に移せるものは移し、自家発電設備の増設でしのげる」と対策を急ぐ。また、森精機製作所は工場を中心に就業時間を1時間半早めるサマータイムを導入し、ほかの対策も含め「3割程度の節電が可能」(森雅彦社長)だという。
今後の見通しについては「上期は弱含むが下期に期待する」(京セラ・久芳徹夫社長)、「下期はサプライチェーン(供給網)が回復する」(ローム・沢村諭社長)など、下半期に持ち直すとの声が多い。アナリストの多くも新興国の強い需要により今年10~12月には売上高、利益とも震災前の水準に回復するとの見方だ。
4月中旬に中国に現地法人を発足したアイシン精機は「設備投資の先送りはしない」(藤森文雄社長)と述べたほか、豊田通商も前期比1・8倍の設備投資計画を立てるなど、成長に向けた攻めの設備投資には積極的だ。
ただ、りそな総合研究所の荒木秀之主任研究員は「供給網寸断の詳細がまだ明らかになっていない。部品調達などの海外シフトが本格化する可能性がある」と指摘しており、先行きには若干の不透明感も漂っている。
2011年05月16日 CNN
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