遊休施設を被災者支援に活用 日本生命、三井造船など
企業が遊休施設を使って東日本大震災の被災者を支援する取り組みが広がり始めた。日本生命保険が仙台市内にある閉鎖したホテルを避難所として開放、三井造船は宮城県石巻市で大型貨客船を使って食事や入浴のサービスを提供する。離れた観光地の宿泊施設を使った取り組みとは異なり、住み慣れた土地から離れたくない被災者にとっても利用しやすい利点があり、各自治体も企業の申し出を歓迎している。
昨年11月に閉鎖した仙台市中心部の旧仙台エクセルホテル東急に11日、半年ぶりに明かりがともった。土地と建物を保有する日本生命が、宮城県に避難所としての無償提供を申し入れ、県を通じて石巻市への貸与が決まった。この日は第1陣として約130人が生活を始めた。来年3月末までの利用を予定する。
建物は1980年の建築で13階建て。約300室を擁する仙台でも有数の大規模ホテルだったが、運営していた東京急行電鉄グループが施設の老朽化や競争激化を理由に撤退。後継テナントが決まっていなかった。震災で一部が損傷したものの安全に使える状態だったため「被災者と地域の役に立ちたい」(日本生命震災復興局)と無償提供を決めた。
三井造船は17日から740人乗りの大型貨客船「テクノスーパーライナー」を石巻港に寄港させる。避難所で生活する被災者らにバイキング形式の食事や船内の客室での宿泊サービスを無償で提供する。31日までの2週間に延べ約2400人の利用を見込む。事前予約を受け付けている石巻市には既に1500人の申し込みがあった。
同船は東京湾と小笠原諸島を結ぶ高速船として2005年に完成したが発注者がキャンセルし、三井造船が建造した岡山県の玉野事業所に未利用のまま係留していた。国に船の有効活用を打診したところ、石巻市への派遣が決まった。
自治体は体育館など1次避難所で暮らす被災者の生活改善を目的に、観光地などの旅館やホテルを確保して提供する取り組みを進めている。しかし「被災者は住み慣れた土地から離れることに抵抗感がある」(宮城県地域復興支援課)ため、利用が伸び悩むことも。宮城県は県内外で約1万8000人分の客室を確保したが利用者は約1600人にとどまっている。利用者のニーズに沿った支援策として企業と連携した動きが広がりそうだ。
2011年05月12日 日本経済新聞
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