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復興への活力――元気を出せる企業がなすべきこと

 3月11日に発生した東日本大震災で多数の国内企業が被害を受け、経済の先行きにも深刻な影響を与えるとの見方が少なくない。復興には経済の活力が不可欠だが、震災以前の活力を取り戻すことが難しい現状で、このジレンマをどう打開すべきか――。

 中小企業顧客を数多く抱える弥生の岡本浩一郎社長は、「厳しい状況でも元気を出して経済を回し、被災地の復興にできる限り貢献していくこと」と話す。

 震災前の同社の事業は売り上げと販売数量ベースで前年比を上回り、震災直後の3月末でも維持した。年度末ということもあり、実売で見ると会計ソフト需要は震災の影響を受けなかったが、「その後の受注状況から少なからず影響があると見ており、4月の結果が今後の試金石になるだろう」(岡本氏)という。

 震災で千葉県にある同社の流通拠点も被害を受け、発送業務に支障が出た。東北地方の顧客企業の中には、大きな被害を受けたところが少なくない。同社ではサポート契約をしていない顧客への相談対応を強化したり、サポート契約期間を延長したりするなどの支援を行っているものの、被害規模がより深刻な顧客企業ほど、こうした支援を利用することが難しいという実態がある。

 「震災後しばらくは被害の少ない企業からの問い合わせが中心だったが、日が経つにつれて、大きな被害を受けた企業からの問い合わせが目立つようになった。ベンダーには顧客の事業を支援するという役割があるが、今回の震災でこれまでにもっとできることがあったのではないかという思いだ」と岡本氏は話す。

 これからは復興に向けた取り組みがますます重要だ。前述のように、経済を回すという企業の根本的な取り組みを元気のある企業が率先して実践していくことが支援につながる。岡本氏は、今後も積極的に事業を展開していくという。

 例えば、今年秋の提供開始を目指すオンラインサービス「弥生オンライン」のその1つ。弥生オンラインは、2010年から日本マイクロソフトと共同で開発を進めているもので、パッケージソフトの機能をオンライン環境に移行させるのではなく、活用方法の幅を広げることを目指す。

 「会計ソフトを使うには仕訳など会計の知識を持っていることが前提になっていた。弥生オンラインでは、例えば法人がソフトで入力した情報を会計事務所が適宜収集して分析し、法人顧客に適切な経営アドバイスができるような仕組みを提供したい」(岡本氏)

 今後の国内IT市場の見通しについて、岡本氏は2008年の金融危機のような厳しい状況にはならないと見る。「こういう時にこそ経済活動を後退させてはいけない。社会を支え合うためにも、“お金”という経済の血液を循環させていくことが大事だ」と語っている。

2011年04月21日 ITメディア

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