自動車生産、回復手探り 部品不足は世界に影響
東日本大震災による部品調達の停滞が世界の自動車メーカーの足元を揺るがしている。1台当たり2万~3万点にのぼる部品や素材を含めた「サプライチェーン」と呼ぶ調達網は幾重にも寸断されている。自動車の生産が本格再開されるのはいつか、手探りの状態が続く。
米国ではトヨタ自動車や米ゼネラル・モーターズ(GM)など日米の主要5社が減産している。ルノーとサムスングループの合弁である韓国のルノーサムスン自動車は4月に入り、日本から調達する変速機やエンジン部品の不足による減産幅を20%に引き上げた。
2007年の新潟県中越沖地震では売上高約800億円のエンジン部品メーカー、リケンが被災し、トヨタなど国内12社の完成車工場が1週間程度止まった。この教訓を生かし、震災などによる部品調達の寸断を避けるため複数の部品メーカーに発注を分散するなどの対策をとってきた。
しかし、東日本大震災で被災した関連工場は新潟県中越沖地震をはるかに上回る。トヨタによると安定調達に支障が出る恐れのある部品は500種類、約200事業所にのぼる。
しかも完成車メーカーが把握できるのは「せいぜい2次取引先まで」とされる。部品によっては4~5次下請けまである協力会社の被災状況を把握するのは困難だ。「樹脂の添加剤や塗料の顔料といった材料を、東北の企業から調達していたことを今回の震災で初めて知った」(大手部品メーカー幹部)という声も出ているほどだ。
完成車メーカー各社は現在、在庫部品を使いながら車両を生産してみて「どの部品が足りないか確認作業を続けている」(日産幹部)状況。「部品在庫が切れる6月にもう一度危機が訪れる」と話す関係者もいる。代替生産などで「6月危機」を乗り越えられるかが、当面の焦点だ。
2011年04月06日 日本経済新聞
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