信越の企業、被災地の代替生産広がる
信越の企業で、東日本大震災で被災した企業の生産を代替する動きが広がっている。「被災企業が生産を再開するまで」と、積極的に協力する企業が多い。一方で、主要顧客の生産が回復することを見据え、設備増強の前倒しを検討する企業も出ている。
メッキなど金属表面処理加工の信越理研(長野市)は、自動車・電子機器向け部品の生産代替を始めた。通常は発注側が製品や製造工程を含めて検査するが、非常時のため同社が加工した製品の品質が認められて、納入が決まった。それでも生産量は、震災で主要取引先の生産ペースが落ちていることから前年並みだ。
ただ、自動車メーカーの生産再開などで、今後は従来顧客向けの生産も元に戻る見込み。要請がある代替受注に対応できるように、「震災前から計画していた設備増強の前倒しも検討する」(服部俊直副社長)という。
同社は東北の企業との取引があることから、工場の空きスペースを被災企業に活用してもらうことも考えている。
プレス部品・金型の鈴木は、東北に主力工場がある企業から、コネクター用部品製造に使う金型を約20台受注した。津波で流された金型の代替という。流されずに泥をかぶった金型の洗浄も「だめもとでやってくれと頼まれている」(横山勝登常務)。
金属熱処理の岡谷熱処理工業(長野県岡谷市)は、計画停電の影響を受ける山梨県の計測器メーカーから、バルブの熱処理の依頼を受けた。停電で熱処理用の炉が稼働できないためだ。「困ったときはお互いさま」(西沢邦治社長)と、加工賃を通常より割り引き、土日で対応している。
一方、金属部品加工の共進(長野県諏訪市)は、問い合わせは相次いでいるものの、まだ受注していない。震災前はハイブリッド車向けなど自動車部品のフル生産が続いていた。徐々に再開されてきた自動車メーカーの生産が軌道に乗れば、生産能力を代替受注に割く余裕はなく、「引き受けたい気持ちは強いが、難しい」(五味武嗣取締役)という。
2011年04月05日 日本経済新聞
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