欧州企業の純利益62%増 エネルギー、新興国関連が躍進
欧州企業の利益水準が高まっている。主要企業の2010年12月期決算を集計したところ、純利益は前の期比62%増だった。石油や資源企業の利益がエネルギー価格の上昇で押し上げられ、自動車など製造業では新興国向け輸出増が収益に寄与した。ただ、原材料費や労働コストの上昇が懸念され、今期は利益の伸びが鈍るとみられている。
米金融情報サービス会社トムソン・ロイターのデータをもとに、日本経済新聞社がまとめた。対象はダウ・ジョーンズ社が算出する株式指数STOXXヨーロッパ600を構成する12月期決算企業(金融を除く)。
純利益の上位3社は英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルなど石油や資源の大手。前の期に比べ利益が急拡大した。原油や鉄鉱石の価格は今年に入っても上昇しており、株式市場では今期も増益が予想されている。英豪リオ・ティントの今期の純利益は前期比4割増え最高益を更新する見通し。
新興国での好調さも目立つ。スペインの通信大手テレフォニカは南米子会社のテレフォニカ・ラテンアメリカの売上高が前期に前の期比13%増と急成長した。
日用品の英蘭ユニリーバは中国での事業を拡大するため、3月28日に総額3億元(約38億円)の元建て債券を発行した。元建てでの発行は欧州企業や世界の日用品企業で初めて。
ただ、ドイツを中心に労働コストの上昇圧力が強まっているほか、鉄鋼や化学製品など素材コストも上昇している。株式市場では、今期の欧州企業の1株利益は前期比15%前後の伸びにとどまるとみられている。
財政危機が深刻な国では金利上昇も逆風。ポルトガルの風力発電世界大手EDPレノバベイスは前期の資金調達コストが2.4倍になり、減益につながった。英米仏など主要国の金利も上昇しており、利益を圧迫する。(ロンドン=松崎雄典)
2011年04月04日 日本経済新聞
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