金融機関、中堅・中小支援を強化 低利融資や窓口開設
中国地方の中堅・中小企業などが、東日本大震災の影響で資金繰りが難しくなることへの懸念を強めている。東北地方や北関東の製造・販売拠点が被災したり、販売先の生産停止・縮小や資材の調達難などで工場の操業率低下に直面する企業が目立つ。5県の自治体・金融機関は新たな融資制度の創設や相談窓口の設置など支援体制を強化している。
広島県内のある自動車部品メーカーは、震災後、取引先のマツダが本社工場(広島市)など2工場の操業を停止・縮小したことで受注が減少。「3月は6割くらいの工場稼働率があったが、4月は低下が避けられない。この状況が続けば運転資金の融資を金融機関に依頼するかもしれない」と話す。
日本政策金融公庫広島支店では、広島県内の取引先のうち、被災地に構えた生産・販売拠点が直接的な被害を受けた企業が約30社程度ある見込み。「今後、設備の復旧に向けた資金の相談が増えそうだ」(同支店)とみる。
各県の金融機関には、資金面の先行き不安に関する相談が相次いで寄せられている。首都圏に店舗などを置くサービス事業者は、東京電力の計画停電で売り上げが減少。合板が不足して住宅メーカーの工事が遅れたり、カキなど三陸海岸の食材が入らず食品加工会社の生産が滞るなど、原材料や資材の調達難による影響も広がっている。
広島市信用組合の山本明弘理事長は「大震災の影響はあらゆる業種に及び始めている。今後は運転資金の借り入れ増を検討する企業が増えるだろう」と指摘する。
こうした状況に対応して、5県の自治体や金融機関は企業への聞き取り調査を通じて状況把握に努めたうえで、低金利による特別融資制度の創設などを進めている。
西京銀行は先週と先々週の週末に無料の電話相談窓口を開設。取引先以外の企業にも門戸を広げており「4月以降も週末の窓口開設を検討する」(総合企画部)。
中国財務局は「3月末の資金需要期を超えても企業の業況が厳しい状況には変わりがない。引き続き金融機関には企業の資金繰りの円滑化に努めてほしい」(金融調整官)と訴えている。
2011年04月01日 日本経済新聞
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