車買い替え、取得税減免 震災復旧の特別立法素案
政府・民主党が東日本大震災の復旧・復興に向けて検討している特別立法の素案が30日、明らかになった。被災したマンションの再建を進めるため、所有者の「5分の4以上」となっている決議要件を緩和。津波などの被害にあった自動車を買い替える際の自動車取得税の減免なども盛り込む。被災者の健康保険の保険料の国費補填や、生活保護の自治体負担の大幅軽減も検討する。
また、政府はガソリン価格が高騰した際に揮発油税などを減税する措置の廃止も検討する。ガソリン価格が3カ月続けて1リットル160円を超えると、ガソリン税の本来の税率に上乗せしている旧暫定税率分の約25円を減税する仕組みで、「トリガー税制」と呼ばれる。実際に発動されれば4500億円程度と大幅な税収減につながるほか、価格の安定性をゆがめるといった批判が出ていた。
政府・民主党は4月中旬にも一連の法案を国会に提出し、同月中の成立を目指す。
今回の震災では行方不明者が多く、マンションの建て替えに関する現行の特別措置法が定める「所有者の5分の4以上」の合意を得るのは困難とみられるため、要件を緩和する。別の場所に建て替える場合でも、こうした特例を適用する。
土地区画整理事業に関して、従来の地権者による組合方式では長期化が避けられないため、地権者に「土地証券」を発行。区画整理後の土地や住宅を証券と交換させる制度を検討する。
空港ターミナルビルなどの公共施設の復旧事業費を国庫補助の対象とする新法を制定する。被災地の住民の集団移転を促す制度整備も提案する見通し。住民の同意や地方自治体の役割、手続きなどを定める。
税制面では阪神大震災にならって、被災者の所得税の軽減・還付、被災企業への法人税の還付などが固まっている。被災地の生活に欠かせない自動車が多数、損傷したことを踏まえ、買い替えに伴う自動車取得税の減免を打ち出す。復旧が難しい住宅などの固定資産税は非課税とすることも盛り込む。
健保の保険料は現在、被災者の支払いを猶予する代わりに、企業の健康保険組合などが立て替えている。健保組合の財政負担を軽減するため、国が補填する。
生活保護は現在、国が75%、地方が25%を負担している。被災地の自治体のほか、被災者がほかの自治体に転出した場合でも、転居先の自治体の負担を国費で穴埋めする。
賃金や手当の一部を助成する「雇用調整助成金」の支給要件のさらなる緩和も検討する。計画停電により休業している企業については、直近の2カ月の売上高が前年同月と比べ一定割合減少していた場合などに助成金を支給する。現在は3カ月が支給条件。
生活再建を支援するため、国が使途を定めない基金の創設や、来年度からの導入が決まっている「一括交付金」を災害対策に振り向けることも盛り込み、地方自治体が自由に復旧・復興策を進められるようにする。被災自治体に地方交付税を積み増すため、復旧・復興経費を別枠として算定する仕組みも導入する方向。
2011年03月31日 日本経済新聞
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