コロナ給付金、国税局OBの元税理士が詐取…100人に不正受給を指南か
新型コロナウイルスの影響で収入が減った個人事業主らを支援する国の持続化給付金をだまし取ったとして、大阪府警東淀川署は1日、大阪国税局OBの元税理士、山本愉章容疑者(43)と、税理士事務所の事務員だった30歳代の男を詐欺容疑で逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。
同署は、山本容疑者が顧問先企業の従業員ら約100人に不正受給を指南したとみており、被害総額は約1億円に上る可能性があるという。
捜査関係者によると、山本容疑者は6月、代表を務める大阪市内の税理士事務所(11月に閉鎖)で、当時事務員の男と共謀し、顧問先の会社に勤める男性(20歳代)を個人事業主と偽った昨年分の確定申告書などの書類を準備。新型コロナの影響で収入が減ったように装って中小企業庁の専用サイトから給付金を申請し、男性の口座に100万円を振り込ませ、詐取した疑い。
山本容疑者は手数料名目で数十万円を受け取ったといい、同署は男性からも任意で事情を聞く。
山本容疑者らは、手数料を稼ぐ目的で顧問先企業の社員やその家族らに次々と不正受給を持ちかけ、応じた人に対して給付金の申請手続きに必要な身分証の写真や通帳のコピーをメールなどで送信するよう指示。事務所内で、うその収入などを記した確定申告を電子申請し、虚偽の書類を入手していたとみられる。
山本容疑者は、2015年に大阪国税局を退職し、税理士事務所を開業。不動産オーナー向けに節税方法を指南する書籍を出版し、税務調査への対応方法を解説するセミナーなどで講師も務めていたが、今年9月に入ってから日本税理士会連合会に登録抹消届を提出し、同29日付で受理された。
◆持続化給付金=コロナ禍で、月の売上高が前年同月比50%以上減った事業者を対象に、中小企業は200万円、個人事業主やフリーランスは100万円を上限に支給する。11月23日時点で約380万件、約5兆円を給付した。申請は来年1月15日まで。
出典:読売新聞社
2020年12月01日
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