震災で感じたクラウドの大切さ 怖いのはデータの流出よりも消滅
東日本大震災では、大津波で多数の家屋が一瞬にして流されました。助かった人のほとんどは着の身着のままで逃げており、全財産を失った人も多いことでしょう。かける言葉も見つかりません。
地震は、営々と築いてきた生活の品々を一瞬で無にします。津波がこない場所に住んでいても、地震に伴う火事ですべてが灰になってしまうこともあります。失ったものの中には、後から買い戻せる品物もありますが、二度と取り戻せないものもあります。家族の歴史を刻んだ「写真」もそのひとつです。
最近は紙焼きの写真をアルバムに貼っている人は少数派でしょう。ほとんどの人がデジカメで撮った写真をパソコンなどに保存していると思います。大地震が起きたとき、そのデジカメやパソコンを持ち出す余裕のある人はいません。長年かけて撮りためた写真は、機器とともに永遠に消滅してしまいます。
水没や盗難、パソコン自体の故障でも、写真データは一瞬にして消え去ります。そうしたもろい状態にある写真を保存し続けるために、外付けハードディスクなどへのバックアップが奨励されていますが、地震でパソコンとともにハードディスクも破壊されてしまえば、バックアップは何の意味もありません。
そこで提案したいのが、ネット上の写真保存サービスを利用することです。いわゆるクラウドコンピューティング(以下、クラウド)サービスのひとつで、写真データの保存・管理を無料もしくは格安の料金で引き受ける様々なサービスが各社から提供されています。
代表的なものは、米グーグルの「Picasa(ピカサ)ウェブアルバム」と米ヤフーの「Flickr(フリッカー)」というサービスです。いずれも無料から利用でき、保存データが増えた場合は有料版に移行できます。その有料版にしても年間500-2000円程度の料金で済みます。以降の連載で、その使い方を具体的に紹介していきます。
私は以前からクラウドの各種サービスを利用し、その便利さを当欄でもたびたび紹介してきました。しかし実は、写真保存のクラウドサービスだけは、これまでまったく利用していませんでした。写真データはプライベートなものが多く、それをネット上にアップすることには何となく二の足を踏んでいたのです。グーグルのような超大手の企業が管理するサービスでも、「データ流出」の危険性はゼロではないからです。
けれど、今回の大震災を経験し、考えを変えることにしました。データ流出の可能性を恐れてクラウドを利用しないのと、データが一瞬にしてこの世から消滅するのとを天秤にかけ、消滅のほうがイヤだという結論に達したのです。
もちろん、クラウドサービスに保存する写真データは、かりに流出したとしても致命的な打撃とならないもの-私にとっては大事だけれど、他人には単なる家族写真にしかすぎないもの-を選ぶつもりです。あらかじめデータの安全性を吟味したうえでクラウドを利用するなら、これほど心強いサービスはないという点も今後お伝えするつもりです。(佐々木浩二)
2011年03月24日 ZAKZAK
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