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新型コロナで食料安保に関心 食料自給率、10年後45%の道のり険しく

 新型コロナウイルス感染拡大で食料安全保障への関心が高まる中、低空飛行を続ける食料自給率に不安を感じる向きは多い。自給率向上には国内生産の増大が必要だが、農地面積や農業就業者数は減少が続き、農業の生産基盤は弱体化が懸念される。10年後にカロリーベースで45%とする目標達成の道のりは険しい。

 食料安保の観点からは、有事に国内生産でどれだけの熱量を供給できるかという意味でカロリーベースの食料自給率が重視される。日本は昭和40年度に73%あったが、その後はほぼ右肩下がりだ。先進国では最低レベルで、100%を優に超すカナダや米国などはおろか、60%程度の英国やイタリアにも及ばない。人口1億3000万人弱の国としては低いとの指摘は多い。

 自給率向上には国内農業の生産基盤強化が欠かせないが、先行きは厳しい。3月に閣議決定された新たな食料・農業・農村基本計画によると、農地面積は令和12年時点で414万ヘクタールと、元年の439万7千ヘクタールを小幅に下回る。農業就業者数も12年に140万人と、平成27年の208万人から3割強減るとの見通しだ。

 新型コロナによる需要急減に加え、毎年のように起きる豪雨や台風といった自然災害も農業生産を揺さぶる。被害を機に営農を断念する農家が増えていけば、将来の食料の安定供給にも支障をきたしかねない。

 ニッセイ基礎研究所の清水仁志研究員は「IT投資の加速などで生産性を高めたり、外国人労働者ら若い就農者を増やしたりする取り組みが必要だ」と話している。(森田晶宏)

出典:産経新聞社

2020年08月06日

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