北陸3県中小、原料・資材調達難 取引先工場が被災
東日本大震災は北陸を含む西日本の中小企業にも影響を及ぼし始めた。特に深刻なのは原材料、資材、機材などの調達難。調達先の東日本のメーカーが被災したためで、仕入れ先を西日本や海外に切り替えるなど対応を急いでいる。一方、北陸企業の中には地元工場の生産体制を強化して、東北の関連工場の操業停止分を肩代わりする動きもみられる。
住宅メーカーは屋根の下地材などに欠かせない合板の調達難に陥っている。年間約4万枚の合板を使用する石川県最大手の住宅メーカー、ニューハウス工業(金沢市)では「木材チップのボードなど代替品を使用しても全く足りない状況」(工事管理部)という。
東北地方に集積していた合板工場の多くが被災により操業を停止し、被災していない地域の合板工場でも仮設住宅向けの出荷を優先させているためだ。同社の合板在庫は4月中旬に切れる見通し。このほど商社を通じて約5000枚の輸入合板を確保したが、入荷は6月になるため、工事中断などを余儀なくされる可能性がある。
工業用ゴム製造の北星ゴム工業(富山県黒部市)は東北地方の原料メーカーの工場が被災し、合成ゴムや関連薬品などの調達に支障をきたしているという。自社で保管している在庫は2週間分程度しかなく、部材によっては中国からの調達も検討する。
主な販売先の自動車メーカーが生産を縮小・休止していることもあり、本社工場(同黒部市)と入善工場(富山県入善町)の稼働率を7割程度に抑制。派遣など非正規労働者を中心に従業員50人程度を自宅待機にしているほか、正社員も自動車向け製品の要員の一部を建築・建造向けに振り向けているという。
横開きシャッター大手の東工シャッター(福井県鯖江市)は、旭硝子の千葉工場(市原市)と鹿島工場(茨城県神栖市)の被災で、住宅用サッシにはめ込むガラスの調達が滞っている。現在は在庫の取り崩しで対応しており、「旭硝子の西日本地区の工場に出荷の準備を進めてもらっている」(総務部)。
精密機械加工の高林製作所(金沢市)は、新潟市内の協力会社に建設機械向け油圧部品の加工を委託していたが、東北電力の計画停電で協力会社の稼働率低下が懸念されるため、急きょ自社工場での加工を増やした。操業時間の延長や休日の交代勤務を検討。電力供給に不安がない西日本を中心に、新しい委託先をさがしていく方針。
2011年03月24日 日本経済新聞
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